東京都でダイレクトリクルーティングを始める|最初の3か月でやること
学生が知りたいのは会社の実績ではなく、自分がそこで何をするかである。この一点に答えていない情報は、どれだけ量があっても判断材料にならない。
なぜ地方企業ほどスカウト型が効くのか
求人を出して待つ採用では、学生が自社を検索する理由が要る。東京都の中小企業にとって、この前提がそもそも成立していない。こちらから名指しで声をかけるダイレクトリクルーティングは、その前提を外せる数少ない手法である。
加えて、都外在住の学生にも同じ条件でアプローチできる。移動を伴わずに接点を作れるという点で、地方企業の距離のハンデを実質的に打ち消す。
1か月目:対象と文面の型を決める
初月にやることは二つだけでよい。誰に送るかの条件と、文面の型である。この二つが固まっていないと、あとから振り返っても原因が特定できない。
文面は、①なぜあなたに送ったか ②何をしている会社か ③次に何をしてほしいか、の3ブロックで組む。この順番を守るだけで、読まれる確率は上がる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
2か月目:送りながら直す
2か月目は、週に一度の頻度で送信と振り返りを回していく。まとめて大量に送って結果を待つより、少しずつ送って文面を直すほうが、精度は早く上がる。
見る数字は、開封されたか、返信があったか、面談まで進んだかの3段階。どこで落ちているかによって、直すべき場所がまったく違う。開封されないなら件名、開封されて返信がないなら本文、返信があって面談に至らないなら日程調整の手間を疑う。
3か月目:回る仕組みにする
3か月目の課題は、担当者が忙しくなった月でも止まらない状態を作ることである。スカウト運用が止まる原因はほぼ例外なく工数で、文面の質ではない。
自社で続けられる見込みが立たないなら、運用を外部に出す判断も早いうちにしたい。止まった運用は、やっていないのと同じ結果になる。
立ち上げ時のチェックリスト
始める前のチェックとして、以下を押さえておきたい。
- 送る対象の条件が、検索条件として入力できる粒度になっているか
- 文面の冒頭3行に「なぜあなたなのか」が書かれているか
- 返信が来たときの一次対応を、誰が何時間以内にやるか決まっているか
- 週あたりの送信本数と、確保する作業時間が決まっているか
- 面談の日程調整をどうやるか(候補提示か、予約URLか)が決まっているか
東京都の採用を考えるときの基礎データ
東京都の主な産業は情報通信、金融、卸売、サービスである。企業の集積は東京と八王子に偏りやすく、立川・町田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
都内の主な高等教育機関としては東京大学、東京科学大学、一橋大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは都外に進学した東京出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
関東という括りで見ると、東京の企業が比較される相手は三つに分かれる。関東の同業、東京に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。
「合同説明会に出れば知ってもらえる」という期待も、実際には裏切られやすい。ブースに座って待つ形では、知名度のある企業に人が流れる。出展するなら、事前の告知と事後の個別連絡まで含めて設計しないと投資が回収できない。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 東京都のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 大手と初任給で比べられると勝てません。
額面での比較に持ち込まれると、多くの中小企業は不利になります。東京都で働く場合の家賃や通勤にかかる費用を並べて示すと、手元に残る額での比較という別の土俵が作れます。ただしこの計算を学生が自分ですることはないので、会社側が数字を用意する必要があります。
Q. 社長が最終面接に出ますが、それで十分でしょうか。
経営者と直接話せることは中小企業の強みですが、最終面接だけに出ると「確認の場」になってしまいます。志望度は選考の前半で動くので、可能なら早い段階で一度顔を出すほうが効果は大きくなります。
Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。
キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。
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この記事のまとめ
最後に残るのは、学生に対して正直だったかどうかである。伝えにくいことを先に伝えた会社は、採用人数が少なくても入社後に崩れにくい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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