高知県で新卒の母集団を作る|応募が集まらない会社がまずやること
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
母集団は「集める」前に「決める」
母集団形成という言葉は、たくさん集めることだと受け取られがちである。しかし高知県の中小企業で実際に必要なのは、対象を決めてから集めることであって、順番を逆にすると母数は増えても選考に乗らない応募ばかりが残る。
先に決めるのは、学歴や専攻ではなく「入社後に何を任せるか」である。任せる仕事が決まれば、必要な素養は自然と絞られる。
高知県で対象を決める三つの軸
対象の決め方には、地域・学校・志向という三つの軸がある。高知県の企業の場合、この三つをどう組み合わせるかで母集団の作り方がまったく変わる。
学校の軸では、高知大学のように県内で接点を作りやすい学校と、県外の学校を分けて考えたい。前者は関係づくり、後者は個別の声かけと、アプローチの種類が違う。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
接点を経路ごとに数える
増やす前に、現状を数える。高知の企業であっても、学校経由・説明会・インターン・紹介・スカウト・直接応募の6経路に分けて昨年の人数を並べれば、どこが細いかはすぐ分かる。
高知県の中小企業では、学校経由と紹介に偏っていることが多い。どちらも関係性に依存する経路なので、担当者が代わると途端に細くなるという弱点を抱えている。
足りない経路から手をつける
数えたうえで、いちばん細い経路から太くしていくのが原則になる。すでに太い経路をさらに伸ばすより、ゼロに近い経路を立ち上げるほうが総量は増えやすい。
とくにスカウト型のサービスは、対象を決めてから動くという母集団形成の原則にそのまま合う。検索条件が対象の定義そのものになるので、決めたことがそのまま運用に反映される。
確認しておきたいこと
以下が決まっていない状態で集め始めると、応募が増えても絞り込めない。先に押さえておきたい。
- 採用したい人数と、配属先が決まっているか
- 対象に含める地域の範囲(県内のみか、県外出身者も含むか)が決まっているか
- 接点の経路ごとに、昨年の実績人数を出せるか
- 選考に乗せる最低条件(必須要件)が一行で言えるか
高知県の採用を考えるときの基礎データ
高知県の主な産業は農業、水産、食品、紙である。企業の集積は高知市と南国に偏りやすく、四万十に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては高知大学、高知工科大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した高知出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
四国という括りで見ると、高知の企業が比較される相手は三つに分かれる。四国の同業、高知市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「高知県には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。県内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で県外に出た高知出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。
「まず採用サイトを作る」という順番も、実は後回しでよいことが多い。採用サイトは興味を持った学生が確認しに来る場所であって、認知を作る場所ではない。先に必要なのは、高知県の学生や高知出身者と接点を持つ手段のほうである。
「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 高知県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。高知・南国・四万十のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. 学生から見た自社の魅力が分かりません。
社内で当たり前になっていることほど、外から見ると特徴になります。農業や水産に関わる仕事であれば、自社の製品やサービスが最終的に誰の手に届いているかを説明できるだけでも、学生の見方は変わります。社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞くところから始めるのが早道です。
Q. 地元の学生に絞ったほうがいいですか。
絞るかどうかではなく、両方を別の対象として扱うのが現実的です。高知県在住の学生には学校経由や地域のイベントが効き、県外に出た出身者にはこちらから個別に声をかける手段が要ります。同じ手法で両方を追うと、どちらも取りこぼします。
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この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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