1. 地方採用ラボ
  2. エリアから探す
  3. 高知県の新卒採用
  4. 高知県の新卒採用市場|中小企業が置かれている状況と、勝ち筋の見つけ方

高知県の新卒採用市場|中小企業が置かれている状況と、勝ち筋の見つけ方

新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。

高知県の採用市場をどう捉えるか

高知県の採用市場は、県内で完結しているようでいて完結していない。高知・南国・四万十のそれぞれが別の通勤圏を持ち、そのうえで県外の企業とも比較されている。自社がどの圏で誰と比べられているかを押さえないまま手法の話に進むと、打ち手がぼやける。

人口減少が早くから進み、県内の新卒だけで採用計画を埋めるのは現実的でない地域。県外在住のUターン希望者をどう見つけるかが、そのまま採用の成否になる。

産業構造が採用の前提を決めている

高知県では農業や水産を中心とした企業が地域の雇用を支えてきた。産業が集積していることは、同業内での人材の取り合いが起きやすいという意味でもある。同じ職種で募集する会社が近隣に何社あるかを数えるだけでも、自社の打ち手は変わってくる。

自社がどちら側にいるかを見極めることが、採用戦略の出発点になる。内側にいるなら仕事の中身と任される範囲で、外側にいるなら「なぜこの土地でこの事業をやっているのか」で差をつけることになる。

なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。

学生の数ではなく、接点の数を数える

母集団が足りないという相談を受けたとき、まず確認するのは年間で何人の学生と直接話したかという数字である。高知県の企業でこれを即答できる会社は多くない。接点の総量を把握していない状態では、増えたか減ったかの判断すらできない。

数えるときは、合計ではなく経路ごとに分けることが肝心である。高知の企業で多いのは、学校経由と紹介で大半が埋まっていて、そこが細った年に一気に採れなくなるという形である。

中小企業が取れる勝ち筋は3つに絞られる

規模で勝てない会社が新卒採用で成果を出すとき、その理由はだいたい次の3つのどれかに収まる。任される範囲が広いこと、意思決定が早いこと、そして暮らしの条件が具体的であること。どれも規模が小さいことから来る強みで、大手が真似しにくい。

重要なのは、この3つを社内の実感ではなく学生が検証できる形で出すことである。「風通しがいい」ではなく「入社2年目が担当している案件の規模」まで書けたとき、初めて比較の材料になる。

まず決めること

市場を理解しても、決めるべきことが決まっていなければ動き出せない。次の3点を、仮でよいので先に確定させておきたい。

  • どの生活圏の学生を対象にするか(県内のみか、県外在住の出身者まで含めるか)
  • 何人を、どの部署に、いつ配属するか
  • 採用に使える予算と、担当者が月に確保できる時間

高知県の採用を考えるときの基礎データ

高知県の主な産業は農業、水産、食品、紙である。企業の集積は高知市と南国に偏りやすく、四万十に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。

県内の主な高等教育機関としては高知大学、高知工科大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した高知出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。

四国という括りで見ると、高知の企業が比較される相手は三つに分かれる。四国の同業、高知市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。

よくある誤解

「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。

「採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、求める人物像も決まらず、面接での判断もぶれる。

「地元の学生は地元志向だから条件は多少劣ってもよい」という理解も危うい。地元で働きたいという前提の上で、条件は他社と比較されている。志向と妥協はまったく別のものである。

自社に当てはめて考える

実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。

  • 高知県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
  • 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
  • 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
  • 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか

確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。

よくある質問

Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。

市区町村までは必ず書きます。高知・南国・四万十のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。

Q. 内定を出しても辞退されます。

辞退は内定後ではなく選考の途中で決まっています。応募から一次面接までの日数、面接から結果連絡までの日数を決めて学生に先に伝え、その通りに動くだけでも志望度は変わります。あわせて、評価をしない面談(配属予定の部署の社員と話す時間)をどこかに入れておきたいところです。

Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。

キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。

あわせて読みたい

  • 徳島県の新卒採用|医薬品とLEDという世界水準の産業がある一方、県内大学の数が少なく母集団が限られる。
  • 香川県の新卒採用|四国の支店経済の中心で、高松に企業の拠点が集まる。
  • 愛媛県の新卒採用|今治のタオルと造船、東予の化学・紙という産地型の産業が強く、企業単位ではなく産地として知られている。
  • 選考フローの設計|選考が長い会社は、それだけで辞退される。
  • OfferBoxの費用|費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
  • スカウト文面|文面は長さではなく、なぜあなたなのかが最初の3行に書いてあるかで読まれるかどうかが決まる。

この記事のまとめ

今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。

採用市場採用戦略高知県の新卒採用エリアから探す

この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964