卸売・商社の面接設計|何を見て、何を伝えるか
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
各段階で何を判断するかを決める
選考の回数そのものより、各段階で何を判断するかが決まっているかのほうが重要である。決まっていないと、同じ質問を繰り返すだけの面接になる。
卸売・商社であれば、一次で仕事への適性と勤務条件の確認、二次で職種ごとの資質、最終で意思の確認、という分け方が組みやすい。
評価がぶれる原因
面接官によって評価が割れる原因は能力ではなく、求める人物像が共有されていないことにある。実在する社員から逆算して像を作ると揃いやすい。
評価項目は4つまでに絞る。増やすほど、面接官は全体の印象で埋めるようになる。
同じ打ち手でも、業種と地域が変われば効き方が変わる。うまくいかなかったときに手法のせいにする前に、前提が自社と合っていたかを見直したい。
面接で伝えるべきこと
扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。取引先と自社の役割を一枚で説明できる資料があるかどうかが効く。
学生が知りたいのは、入社後の毎日である。仕事の流れ、一緒に働く人、最初の1年で任される範囲。これを面接のなかで伝えられると志望度が動く。
現場の社員を出す
法人営業や仕入・調達として実際に働いている社員が面接に出ると、説明の説得力が変わる。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
現場社員を面接に出すなら、見る項目と話す内容を先に渡しておきたい。渡さないまま出すと、和やかな雑談で終わる。
卸売・商社で募集する職種を分けて考える
卸売・商社が新卒で募集する職種は、法人営業、仕入・調達、貿易事務、物流管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば法人営業と物流管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。取引先と自社の役割を一枚で説明できる資料があるかどうかが効く。
よくある誤解
「仕事は入ってみないと分からない」というのは事実だが、それを理由に説明を省くと、入社後のずれがそのまま早期離職になる。法人営業・仕入・調達それぞれについて、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「卸売・商社の仕事は入ってみないと分からない」という説明は、聞く側からすると判断を放棄されたように映る。一日の流れと、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
自社に当てはめて考える
次の項目は、採用担当だけでは答えられないものを含んでいる。配属先の上長と一緒に確認するほうが早く埋まる。
- 卸売・商社で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 職種ごとに募集要項を分ける必要はありますか。
分けたほうが応募は増えます。法人営業・仕入・調達・貿易事務では、学生が比較する相手も判断の軸も違います。ひとつにまとめると、どの職種の学生にも刺さらない文章になります。
Q. 求人票に残業時間まで書く必要がありますか。
書いたほうが結果的に得になります。伏せておくと入社後に跳ね返り、早期離職という形で採用コストに戻ってきます。実態を書いたうえで、会社としてどう向き合っているかを添えるのが扱いやすい形です。
Q. 配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
あわせて読みたい
- 教育・保育|志望度の高い学生が集まりやすい一方、待遇面で他業種と比較された瞬間に離れる。
- 観光・宿泊|繁閑差と勤務形態を正直に書いたほうが、入社後のミスマッチは確実に減る。
- 印刷・紙・包装|紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。
- OfferBoxの費用|費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- 新卒ダイレクトリクルーティング媒体の選び方|媒体ごとに学生の層と使い方が違う。
- ダイレクトリクルーティング|求人を出して待つのではなく、こちらから個別に声をかける採用手法。
この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964