地方と都市の賃金差|地方の中小企業が知っておくこと
採用に割ける人手が限られている会社ほど、手広くやるほど成果が落ちる。絞ったうえで深くやるという判断が、結果的にいちばん現実的な打ち手になる。
このテーマの前提
額面ではなく可処分所得と生活コストで比べれば、見え方は変わる。ただし比較の材料はこちらが用意しないと伝わらない。
構造の話は、知っているだけでは採用の成果につながらない。自社の打ち手にどう翻訳するかまで落として初めて意味を持つ。
企業側から見た影響
効き方は二通りある。集まる人数に効いているのか、選ばれるかどうかに効いているのか。ここを分けないと打ち手を誤る。
量に効いているなら接点を増やす打ち手、判断軸に効いているなら伝える内容を変える打ち手になる。混ぜると空振りする。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
押さえておく観点
実務に落とすとき、この観点を押さえておきたい。
- 地域の相場に対する自社の位置を把握しているかどうか
- 生活コストまで含めた比較材料を用意しているかどうか
- 昇給の考え方を示せているかどうか
- 額面以外の条件を金額に換算して示せているかどうか
自社でできること
構造そのものは一社では変えられない。変えられるのは、その構造のなかで自社がどう見えるかである。
まずは、いま自社が出している情報のうち、このテーマに関わる部分を確認したい。書かれていないことが、そのまま伸びしろになる。
地方と都市の賃金差を自社の言葉にする
額面ではなく可処分所得と生活コストで比べれば、見え方は変わる。ただし比較の材料はこちらが用意しないと伝わらない。
自社の話に落とすときは、地域の相場に対する自社の位置を把握している、生活コストまで含めた比較材料を用意している、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、昇給の考え方を示せているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「学生は条件だけで選んでいる」という見方も、実態とは違う。条件は比較の入口として効くが、最後に決め手になるのは、入社後の自分を具体的に想像できたかどうかであることが多い。
「移住や住まいの支援は費用がかかりすぎる」と考える前に、どこまでなら負担できるかを金額で出してみたい。全額でなくても、金額と条件が明示されていること自体が安心材料になる。
「このテーマは採用担当が理解していれば十分」というのも危うい。経営層と配属先に共有されていないと、必要な条件整備の判断が下りてこない。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 地域の相場に対する自社の位置を把握しているかどうか
- 生活コストまで含めた比較材料を用意しているかどうか
- 昇給の考え方を示せているかどうか
- 額面以外の条件を金額に換算して示せているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 学生に伝わる書き方が分かりません。
抽象語を一つ減らして、金額・時間・頻度のどれかに置き換えます。「暮らしやすい」ではなく「通勤15分、家賃は月◯万円台」と書けたとき、初めて比較の材料になります。
Q. 地方であること自体が不利ではないですか。
条件によります。通勤時間と住居費は、都市部の企業が給与で追いつけない領域です。不利な部分と有利な部分を分けて、有利な側を金額で示せているかを確認したいところです。
Q. 同業他社も同じことを言っています。
同じ言葉を使っていても、具体の粒度で差がつきます。制度の有無ではなく金額と条件、雰囲気ではなく実際の一日。ここまで落とせている会社は多くありません。
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この記事のまとめ
採用の設計は、一度作ったら終わりではない。毎年の結果を見て、どこを変えてどこを変えないかを決める作業そのものが設計である。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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