観光・宿泊のインターンシップ設計|仕事の実感をどう渡すか
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
目的を先に決める
会社を知ってもらう場なのか、こちらが見極める場なのか。どちらを主目的にするかで、内容も期間も変わる。決めないまま始めると、職場見学の域を出ない。
終わったあとの接触まで決めて、初めて採用施策になる。当日で完結する企画は、成果の測りようがない。
業種のイメージを更新する機会になる
繁閑差と勤務形態を正直に書いたほうが、入社後のミスマッチは確実に減る。地域の観光そのものに関わりたい学生は一定数いるので、事業の広がりを示したい。
フロント・企画・営業のうち、学生のイメージから最も遠い職種を見せると印象が変わる。普段どおりの仕事を見せるだけで十分な場合が多い。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
人手をかけずに成立させる
長期間・多人数のプログラムは中小企業では続かない。1日または数日、少人数で、現場の社員が一人ついて回せる規模から始めたい。
作り込んだ課題より、本物の仕事を見せる時間を長く取るほうが記憶に残る。
参加後の接触を決めておく
成果は実施中ではなく実施後に決まる。参加した学生と、いつ何回接触するかを先に決めておく。
距離感が難しいところで、急かせば引かれ、空ければ忘れられる。月1回の近況確認に留め、担当者を決めておきたい。
観光・宿泊で募集する職種を分けて考える
観光・宿泊が新卒で募集する職種は、フロント、企画、営業、施設運営などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえばフロントと施設運営では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
繁閑差と勤務形態を正直に書いたほうが、入社後のミスマッチは確実に減る。地域の観光そのものに関わりたい学生は一定数いるので、事業の広がりを示したい。
よくある誤解
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「採用サイトにお金をかければ応募が来る」という期待も外れやすい。見た目より、仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例が揃っているかどうかで判断されている。
「学生は安定を求めている」という説明も、言葉が大きすぎる。何をもって安定とするかは人によって違い、事業の継続性を指す人もいれば、勤務地が変わらないことを指す人もいる。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 観光・宿泊で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えが人によって違う項目があれば、それ自体が発見である。社内で認識が揃っていないまま選考を進めると、面接官ごとに評価がぶれる。
よくある質問
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
Q. 配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
Q. 未経験でも採れる仕事かどうか、どう伝えればいいですか。
入社後1年目に任せる範囲と、そこに至るまでの教育の流れを書くのが分かりやすい形です。「未経験歓迎」という言葉だけでは、何をどこまで教えてもらえるのかが伝わりません。
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この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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