医療・介護・福祉のインターンシップ設計|仕事の実感をどう渡すか
採用がうまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。社内では当たり前になっていることを、外から見て分かる言葉に直せているかどうかの差であることが多い。
目的を先に決める
目的が二つあると設計が定まらない。認知が目的なら短く広く、見極めが目的なら長く狭く。先に決めておきたい。
終わったあとの接触まで決めて、初めて採用施策になる。当日で完結する企画は、成果の測りようがない。
業種のイメージを更新する機会になる
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
生活相談員・事務・人事のうち、学生のイメージから最も遠い職種を見せると印象が変わる。普段どおりの仕事を見せるだけで十分な場合が多い。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
人手をかけずに成立させる
長期間・多人数のプログラムは中小企業では続かない。1日または数日、少人数で、現場の社員が一人ついて回せる規模から始めたい。
作り込んだ課題より、本物の仕事を見せる時間を長く取るほうが記憶に残る。
参加後の接触を決めておく
成果は実施中ではなく実施後に決まる。参加した学生と、いつ何回接触するかを先に決めておく。
距離感が難しいところで、急かせば引かれ、空ければ忘れられる。月1回の近況確認に留め、担当者を決めておきたい。
医療・介護・福祉で募集する職種を分けて考える
医療・介護・福祉が新卒で募集する職種は、生活相談員、事務、人事、ケアスタッフなどに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生活相談員とケアスタッフでは、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
よくある誤解
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
「内定を出せば終わり」という感覚も危うい。内定から入社までの数か月は学生がいちばん不安になる時期で、放置すれば他社に流れる。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 医療・介護・福祉で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 職種ごとに募集要項を分ける必要はありますか。
分けたほうが応募は増えます。生活相談員・事務・人事では、学生が比較する相手も判断の軸も違います。ひとつにまとめると、どの職種の学生にも刺さらない文章になります。
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. 配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
あわせて読みたい
- 食品・飲料|地方に本社を置く企業が多く、地元での知名度は高いのに学生には「工場の仕事」としか見えていないことが多い。
- 飲食・フードサービス|離職率のイメージが先行するため、労働時間と昇進の道筋を数字と制度で説明できるかが勝負になる。
- 金融(地銀・信金・保険)|地域経済の担い手という立ち位置は学生に伝わりやすいが、業務の変化が伝わっていない。
- 知名度に頼らない採用|知名度は採用の前提条件ではない。
- OfferBoxの費用|費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- OfferBox運用代行|運用代行は工数を外に出すことが目的ではなく、毎週まわし続ける状態を作ることが目的。
この記事のまとめ
採用の巧拙は、特別な施策ではなく前提の置き方で決まる。前提を書き出して社内で見せ合うだけでも、噛み合っていない部分が見えてくる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964