医療・介護・福祉の求人票の書き方|仕事の中身が伝わる具体の出し方
新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。
業種名の説明から始めない
医療・介護・福祉の求人票は、仕事内容の欄が「生活相談員業務全般」で終わっていることがある。これでは他社と区別がつかず、比較の土俵に乗らない。
仕事内容は、朝から夕方までの流れとして書く。誰と、何を使って、どこまでやるか。この3点が入っていれば読み手は想像できる。
職種ごとに書き分ける
生活相談員・事務・人事をひとつの募集要項にまとめると、どの職種の学生にも刺さらない。手間はかかるが、職種ごとに分けたほうが応募は増える。
分けるときは、職種ごとに「最初の1年で任せること」と「3年目に任せること」を書く。成長の見通しが見えると、志望動機が書きやすくなる。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
書きにくい条件こそ先に書く
勤務地、転勤、休日、繁忙期の忙しさ。書きにくい項目を曖昧にすると、選考の終盤で辞退の理由になる。
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
見直しの観点
既存の求人票を点検するなら、次の観点で読み返したい。抽象語を一つ減らして具体を一つ増やす、という作業の繰り返しになる。
- 仕事内容が一日の流れとして書かれているか
- 職種ごとに募集要項が分かれているか
- 勤務地が市区町村まで書かれているか
- 最初の1年と3年目で任せる範囲が書かれているか
- 求める人物像が行動で書かれているか
医療・介護・福祉で募集する職種を分けて考える
医療・介護・福祉が新卒で募集する職種は、生活相談員、事務、人事、ケアスタッフなどに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生活相談員とケアスタッフでは、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
よくある誤解
「医療・介護・福祉は学生に人気がないから仕方ない」という前提を置くと、そこから先の打ち手が出てこない。業種のイメージで足切りされているなら、業種名より先に仕事の中身を見せる順番に変えるだけで、読まれ方は変わる。
「学生は安定を求めている」という説明も、言葉が大きすぎる。何をもって安定とするかは人によって違い、事業の継続性を指す人もいれば、勤務地が変わらないことを指す人もいる。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
自社に当てはめて考える
読んだ内容を実際に動かすには、自社の現状を確認しておく必要がある。次の項目に答えられるかどうかを見てほしい。
- 医療・介護・福祉で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えが人によって違う項目があれば、それ自体が発見である。社内で認識が揃っていないまま選考を進めると、面接官ごとに評価がぶれる。
よくある質問
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. 採用サイトを作るべきでしょうか。
作る前に、載せる中身が揃っているかを確認したいところです。仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例。この4つがあれば形式は問われません。逆に、中身のないサイトを作ると、接点を持った学生の志望度を下げる側に働きます。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
あわせて読みたい
- IT・情報通信|地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。
- 機械・精密・電子部品|ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。
- 化学・素材|装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。
- 面接官・面接設計|面接は評価の場であると同時に、口説く場でもある。
- インターンシップ|インターンは会社を知ってもらう場であると同時に、こちらが学生を見極める場でもある。
- スカウトの年間スケジュール|学生が動く時期と企業が動きたい時期はずれている。
この記事のまとめ
重要なのは、施策を増やすことではなく、うまくいかなかった理由を毎回言葉にして残しておくことである。それがそのまま翌年の採用設計の土台になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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