東京都の合同説明会・就職イベントを成果につなげる
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
出展の成果は当日以外で決まる
東京都で開かれるイベントは参加企業数も来場者数も限られる。だからこそ、当日にどれだけ話せたかより、その後どれだけ個別に接触できたかが結果を左右する。
出展を決めた時点で、事後の接触を誰がいつやるかまで決めておきたい。
ブースで何を伝えるか
短い時間で会社の全部は伝わらない。持ち帰ってもらう情報を一つに絞ったほうが記憶に残る。
掲示物に会社の沿革や売上を並べても、学生は比較材料として使わない。入社1年目が何をしているかを写真つきで出したほうが、立ち止まる学生は増える。
なお、制度やサービスの仕様は変わる。この記事の内容は考え方の部分を中心にしているが、具体的な手続きは必ず一次情報で確認してほしい。
座って待たない
ブース前を通る学生に声をかけるかどうかで、話せる人数は大きく変わる。声をかける役と話す役を分けて、二人以上で入るのが望ましい。
一人で出展せざるを得ないなら、出展そのものを見直したほうがよい。同じ時間を個別の接触に使ったほうが、成果が読める。
出展しないという判断もある
東京都の中小企業にとって、出展費と当日の人件費は小さくない。母集団が増えているという実感がないなら、同じ予算をこちらから声をかける手法に回したほうが、対象を選べるぶん成果が読める。
出展前に決めること
申し込む前に、この5点を決めておきたい。
- 持ち帰ってもらう情報を一つに絞れているか
- 当日入る人数と、声かけ役の担当
- 話した学生を記録する方法
- 事後の連絡を、誰がいつ出すか
- 今年の出展を評価する基準(何人と話せたら成功か)
東京都の採用を考えるときの基礎データ
東京都の主な産業は情報通信、金融、卸売、サービスである。企業の集積は東京と八王子に偏りやすく、立川・町田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
都内の主な高等教育機関としては東京大学、東京科学大学、一橋大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは都外に進学した東京出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
関東という括りで見ると、東京の企業が比較される相手は三つに分かれる。関東の同業、東京に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「東京都には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。都内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で都外に出た東京出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。
「採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、求める人物像も決まらず、面接での判断もぶれる。
「地元の学生は地元志向だから条件は多少劣ってもよい」という理解も危うい。地元で働きたいという前提の上で、条件は他社と比較されている。志向と妥協はまったく別のものである。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 東京都のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 都内の学生だけでは母集団が足りません。どうすればいいですか。
東京都に限らず、都内在住の学生だけで計画を埋めようとすると早い段階で頭打ちになります。進学で都外に出た東京出身の学生を対象に含めると、母数は大きく変わります。ただしこの層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないため、こちらから探しに行ける手段がないと接点が作れません。
Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。
手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。
Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。
キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。
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この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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