東京都の企業が内定辞退を減らすには|辞退は選考中に決まっている
求人を出せば応募が来た時代の設計のまま、媒体だけを増やしている会社は多い。工数は増えるのに結果が変わらないのは、やり方ではなく前提が古いためである。
辞退は内定を出した後に起きるのではない
内定辞退の連絡が来た時点で、学生の気持ちはとうに離れている。志望度が下がったのは選考の途中であって、辞退はその結果が表に出ただけである。だから内定後のフォローを厚くしても、あまり効かない。
勝負がついているのは序盤である。初回の接触から一次面接までに興味を引けなかった相手は、最終面接まで来ても他社を選ぶ。
段階ごとに落ちる理由を分ける
段階ごとに人数を並べると、落ちている箇所が一目で分かる。合計だけを見ていると「今年は辞退が多かった」で終わってしまう。
東京都の企業の場合、終盤での辞退理由に勤務地と住まいが絡むことが多い。条件として先に出していれば防げたものが、終盤まで残ってしまっている。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
選考のスピードは志望度に直結する
面接から結果連絡までの日数を決めて、それを学生に先に伝えておく。約束通りに連絡が来るという体験そのものが、この会社は信用できるという判断材料になる。
毎週この時間は面接に使う、と決めて枠を確保しておく。これをやらない限り、スピードは担当者の頑張りに左右され続ける。
志望度を上げる接点を選考に組み込む
見極めと動機づけを一つの場に詰め込むと、どちらも薄くなる。評価しない前提の面談を別に設けるだけで、学生から出てくる質問の質が変わる。
職場を見てもらう機会があるなら、必ず入れたい。写真や文章で伝わらないことが、30分の見学で伝わることは多い。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでも効果がある。
辞退の理由を記録する
辞退されたときに理由を聞いていない会社は多い。聞きにくい気持ちは分かるが、聞かなければ翌年も同じところで落とすことになる。
聞き方は難しくない。「今後の参考にしたいので、差し支えなければ決め手を教えてほしい」で足りる。返ってきた内容を記録に残し、翌年の設計に反映させる。この積み重ねだけで歩留まりは変わる。
東京都の採用を考えるときの基礎データ
東京都の主な産業は情報通信、金融、卸売、サービスである。企業の集積は東京と八王子に偏りやすく、立川・町田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
都内の主な高等教育機関としては東京大学、東京科学大学、一橋大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは都外に進学した東京出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
関東という括りで見ると、東京の企業が比較される相手は三つに分かれる。関東の同業、東京に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 東京都のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 大手と初任給で比べられると勝てません。
額面での比較に持ち込まれると、多くの中小企業は不利になります。東京都で働く場合の家賃や通勤にかかる費用を並べて示すと、手元に残る額での比較という別の土俵が作れます。ただしこの計算を学生が自分ですることはないので、会社側が数字を用意する必要があります。
Q. オンラインでの選考だけで内定を出してもよいのでしょうか。
対面の機会をどこかに一度は入れたほうが、入社後のずれは減ります。ただし東京都の企業が都外の学生を対象にする場合、最初から対面を求めると接点そのものが作れません。序盤はオンラインで完結させ、終盤で一度来てもらう(交通費の扱いを先に明示する)という順番が現実的です。
Q. 社長が最終面接に出ますが、それで十分でしょうか。
経営者と直接話せることは中小企業の強みですが、最終面接だけに出ると「確認の場」になってしまいます。志望度は選考の前半で動くので、可能なら早い段階で一度顔を出すほうが効果は大きくなります。
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この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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