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福島県の企業が送るスカウト文面|返信が来る書き方と落とし穴

新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。

読まれるかどうかは冒頭3行で決まる

学生は一日に複数の企業からオファーを受け取る。そのなかで読まれるのは、冒頭で「これは自分に向けて書かれた文章だ」と分かるものだけである。会社紹介から始まる文面は、その時点で読み飛ばされる。

プロフィールのどこを見て送ったのかを、本人の書いた語句を引用する形で示す。ゼミの研究テーマ、学生時代に取り組んだこと、志望する職種。一つ拾うだけで、定型文ではないと伝わる。

福島県の会社であることをどう書くか

勤務地を「福島県」とだけ書くと、学生はそれを自分の生活として想像できない。福島市なのかいわきなのか、通勤はどうなるのか、そこまで書いて初めて条件として機能する。

化学や電子部品といった地域の産業と自社の関係を一文で書けると、なぜこの土地でこの事業をやっているのかが伝わる。学生が最も知りたいのは、実はここである。

なお、ここで挙げた順番が唯一の正解ではない。すでに手をつけている部分があるなら、そこは飛ばして次に進んでいただきたい。

書いてはいけないこと

「あなたのような優秀な方に」「ぜひ一度お話を」といった、誰にでも当てはまる言い回しは逆効果になる。個別に選んで送っているという前提そのものを疑わせてしまう。

長さも障害になる。画面をスクロールしないと終わらない文面は、それだけで読まれない。要点は3ブロックに収め、詳しい話は採用ページに送る構成が扱いやすい。

次の行動を一つに絞る

依頼は一つだけにする。複数並べた瞬間、学生はどれから手をつけるかを考える段階で読むのをやめる。

日程調整の手間は返信率を確実に下げる。候補日を3つ提示するか、予約用のURLを添えるかして、往復の回数を減らしておきたい。

文面を直す順番

直すのは一度に一か所にとどめたい。まとめて変えると、改善したのかどうかの判断材料が消える。順番は次のとおりである。

  • 件名(開封されない場合)
  • 冒頭3行の個別化(開封されるが読み進められない場合)
  • 仕事内容の具体性(読まれるが返信がない場合)
  • 次の行動の軽さ(返信はあるが面談に至らない場合)

福島県の採用を考えるときの基礎データ

福島県の主な産業は化学、電子部品、輸送用機械、再生可能エネルギーである。企業の集積は福島市といわきに偏りやすく、福島・会津若松に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。

県内の主な高等教育機関としては福島大学、会津大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した福島出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。

北海道・東北という括りで見ると、福島の企業が比較される相手は三つに分かれる。北海道・東北の同業、福島市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。

よくある誤解

「福島県には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。県内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で県外に出た福島出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。

「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。

「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。

自社に当てはめて考える

ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。

  • 福島県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
  • 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
  • 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
  • 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか

埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。

よくある質問

Q. 県内の学生だけでは母集団が足りません。どうすればいいですか。

福島県に限らず、県内在住の学生だけで計画を埋めようとすると早い段階で頭打ちになります。進学で県外に出た福島出身の学生を対象に含めると、母数は大きく変わります。ただしこの層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないため、こちらから探しに行ける手段がないと接点が作れません。

Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。

市区町村までは必ず書きます。郡山・いわき・福島のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。

Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。

手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。

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この記事のまとめ

うまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。当たり前のことを、学生から見て分かる形で言語化できているかどうかの差であることが多い。

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この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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