農業・林業・水産の内定辞退を減らす|どの段階で志望度が落ちているか
学生が知りたいのは会社の実績ではなく、自分がそこで何をするかである。この一点に答えていない情報は、どれだけ量があっても判断材料にならない。
辞退は選考の途中で決まっている
辞退の連絡が来た時点で、学生の気持ちはとうに離れている。志望度が下がったのは選考の途中であり、内定後のフォローを厚くしてもあまり効かない。
手を打つべきは、初回接触から一次面接までの間である。ここで志望度が動かなければ、その後どれだけ丁寧に扱っても順位は変わらない。
段階ごとに分けて数える
段階ごとの残存人数を並べてみたい。合計の辞退率だけでは、原因がどこにあるかまでは見えてこない。
序盤で落ちるなら情報提供、中盤なら仕事内容の伝わり方、終盤なら条件と意思決定の問題であることが多い。
なお、制度やサービスの仕様は変わる。この記事の内容は考え方の部分を中心にしているが、具体的な手続きは必ず一次情報で確認してほしい。
農業・林業・水産でとくに起きやすいずれ
事業としての規模と収益構造が学生に見えていないことが最大の障壁。法人経営であること、休日と給与が制度として整っていることを先に示す必要がある。
生産管理・営農指導・加工のうちどの職種に配属されるかが決まっていないまま進めると、終盤で「思っていた仕事と違う」が出る。配属の決め方を先に説明しておきたい。
見極めと口説きを分ける
評価する面接と、口説く面談を同じ場でやると、どちらも中途半端になる。配属予定の部署の社員と話す時間を、選考とは別に設けたい。
職場を見てもらう機会があるなら必ず入れる。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでも効果がある。
農業・林業・水産で募集する職種を分けて考える
農業・林業・水産が新卒で募集する職種は、生産管理、営農指導、加工、販売などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生産管理と販売では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
事業としての規模と収益構造が学生に見えていないことが最大の障壁。法人経営であること、休日と給与が制度として整っていることを先に示す必要がある。
よくある誤解
「農業・林業・水産は学生に人気がないから仕方ない」という前提を置くと、そこから先の打ち手が出てこない。業種のイメージで足切りされているなら、業種名より先に仕事の中身を見せる順番に変えるだけで、読まれ方は変わる。
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「同業に勝てないから他業種から採る」という発想は方向としては正しいが、そのままでは伝わらない。他業種の学生には、農業・林業・水産の仕事が何に似ているかを説明する言葉が要る。
自社に当てはめて考える
読んだ内容を実際に動かすには、自社の現状を確認しておく必要がある。次の項目に答えられるかどうかを見てほしい。
- 農業・林業・水産で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。
よくある質問
Q. 同業他社と条件で横並びになってしまいます。
条件で並ぶなら、任される範囲で差をつけるしかありません。入社1年目に何を任せるか、3年目に何を任せるかを具体的に書けると、同じ条件でも見え方が変わります。規模が小さいほど、この部分は書きやすいはずです。
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. 早期離職が続いています。
受け入れ側の問題として扱う前に、採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認したいところです。良いことしか伝えていない採用は、必ず入社後に跳ね返ります。
あわせて読みたい
- 小売・専門店|店舗配属の範囲と、本部に上がるまでの道筋を示せるかで応募の質が変わる。
- 卸売・商社|扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。
- 医療・介護・福祉|資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。
- 採用サイト・採用ページ|採用サイトは応募を取る場所ではなく、興味を持った学生が確認しに来る場所。
- 既卒・第二新卒|新卒だけで枠を埋めようとして未充足になるくらいなら、既卒・第二新卒を対象に含めたほうが早い。
- OfferBoxの基本|学生がプロフィールを登録し、企業がそれを見てオファーを送る形式のサービス。
この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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