農業・林業・水産の求人票の書き方|仕事の中身が伝わる具体の出し方
施策を増やしても採用人数が増えないのは、工数が分散しているからである。手を広げるほど一つあたりの密度が下がり、どれも決め手にならなくなる。
業種名の説明から始めない
農業・林業・水産の求人票は、仕事内容の欄が「生産管理業務全般」で終わっていることがある。これでは他社と区別がつかず、比較の土俵に乗らない。
仕事内容は、朝から夕方までの流れとして書く。誰と、何を使って、どこまでやるか。この3点があれば読み手は想像できる。
職種ごとに書き分ける
生産管理・営農指導・加工をひとつの募集要項にまとめると、どの職種の学生にも刺さらない。手間はかかるが、職種ごとに分けたほうが応募は増える。
職種ごとに1年目と3年目の担当範囲を書いておきたい。先が見えると、学生は自分の志望理由を自分で言語化できるようになる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
書きにくい条件こそ先に書く
勤務地、転勤、休日、繁忙期の忙しさ。書きにくい項目を曖昧にすると、選考の終盤で辞退の理由になる。
事業としての規模と収益構造が学生に見えていないことが最大の障壁。法人経営であること、休日と給与が制度として整っていることを先に示す必要がある。
見直しの観点
既存の求人票を点検するなら、次の観点で読み返したい。抽象語を一つ減らして具体を一つ増やす、という作業の繰り返しになる。
- 仕事内容が一日の流れとして書かれているか
- 職種ごとに募集要項が分かれているか
- 勤務地が市区町村まで書かれているか
- 最初の1年と3年目で任せる範囲が書かれているか
- 求める人物像が行動で書かれているか
農業・林業・水産で募集する職種を分けて考える
農業・林業・水産が新卒で募集する職種は、生産管理、営農指導、加工、販売などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生産管理と販売では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
事業としての規模と収益構造が学生に見えていないことが最大の障壁。法人経営であること、休日と給与が制度として整っていることを先に示す必要がある。
よくある誤解
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「現場は忙しいから採用に関わらせられない」という判断も、結果的に高くつく。現場の社員が面接に出るかどうかで、説明の説得力はまったく違う。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 農業・林業・水産で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
農業・林業・水産という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 採用サイトを作るべきでしょうか。
作る前に、載せる中身が揃っているかを確認したいところです。仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例。この4つがあれば形式は問われません。逆に、中身のないサイトを作ると、接点を持った学生の志望度を下げる側に働きます。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
あわせて読みたい
- 卸売・商社|扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。
- 医療・介護・福祉|資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。
- 電力・ガス・インフラ|安定というキーワードだけで語ると、同じ土俵の企業と区別がつかなくなる。
- インターンシップ|インターンは会社を知ってもらう場であると同時に、こちらが学生を見極める場でもある。
- 専門学校・短大卒の採用|専門学校生は分野が明確なぶん、仕事との接続を示しやすい。
- OfferBoxの基本|学生がプロフィールを登録し、企業がそれを見てオファーを送る形式のサービス。
この記事のまとめ
今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964