通年採用・秋採用|地方企業は都市部と前提が違う
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
前提が違うところから始める
通年採用・秋採用について書かれた情報の多くは、都市部の企業を想定している。学生の母数、通勤の前提、競合の数がそもそも違うので、そのまま当てはめても噛み合わない。
春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。夏以降に動く学生は志望が固まっていることが多く、選考の設計も変わる。
距離という制約
地方企業の採用では、学生との物理的な距離が常についてまわる。説明会に来てもらう、面接に足を運んでもらうという前提が成り立ちにくい。
オンラインで完結できる工程を増やすと、この制約はかなり緩む。対面の代替として使うのではなく、接点の総量を増やす道具として位置づけたい。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
暮らしの条件が判断材料になる
地方で働くことの実利は、通勤時間の短さと住居費の低さに集約される。ここは都市部の企業が給与でどれだけ上積みしても追いつけない領域である。
抽象的な言い方では届かない。所要時間、家賃、休日の過ごし方。数字と具体に置き換えて初めて比較の材料になる。
地方企業として押さえること
通年採用・秋採用に取り組むうえで、地方企業がとくに確認しておきたい点を挙げる。
- 春に採り切れなかった場合の追加募集の時期を決めているかどうか
- 秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えているかどうか
- 通年で募集する場合の受け皿が用意されているかどうか
- 既卒を対象に含めるかどうかを決めているかどうか
通年採用・秋採用を自社の言葉にする
春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。夏以降に動く学生は志望が固まっていることが多く、選考の設計も変わる。
自社の話に落とすときは、春に採り切れなかった場合の追加募集の時期を決めている、秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、通年で募集する場合の受け皿が用意されているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「数字で管理するのは大企業の話」というのも誤解である。記録するのは複雑な指標ではなく、手法ごとに何人採れたかという単純な数字でよい。これがないと、翌年また同じところから考え直すことになる。
「通年採用・秋採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、判断の基準が作れない。
「学生の質が下がった」という言い方も、原因の特定を止めてしまう。母集団の質は、対象の設定と伝える内容で決まる。集まる層が変わったなら、変えたのは自社の側である可能性が高い。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 春に採り切れなかった場合の追加募集の時期を決めているかどうか
- 秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えているかどうか
- 通年で募集する場合の受け皿が用意されているかどうか
- 既卒を対象に含めるかどうかを決めているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 他社の事例をそのまま真似してもいいですか。
規模・業種・地域が違うと、同じ打ち手でも効き方が変わります。事例は「何をやったか」ではなく「なぜそれを選んだか」を読み取って、自社の条件に翻訳して使うほうが外しません。
Q. 社内に前例がなく、判断がつきません。
前例がないこと自体は障害になりません。決めるべきことを書き出して、仮でよいので置いてしまうほうが前に進みます。置いた前提が違っていたら、次の年に直せば足ります。
Q. 複数の課題が同時にあります。どれからやるべきですか。
採用の流れの上流にあるものからです。母集団が足りていない状態で選考の設計を磨いても、効果は限定的になります。逆に、上流が足りているのに終盤で落ちているなら、選考側から手をつけます。
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この記事のまとめ
重要なのは、施策を増やすことではなく、うまくいかなかった理由を毎回言葉にして残しておくことである。それがそのまま翌年の採用設計の土台になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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