通年採用・秋採用|場面ごとの考え方
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
着手したばかりの場合
通年採用・秋採用にこれから取り組む段階では、精度より着手の早さを優先したい。完成形を目指すほど動き出しが遅れる。
まず秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えているかどうかという点だけを決めて、動かしながら他を埋めていくほうが早い。
一度やってみて成果が出なかった場合
前回うまくいかなかった理由を言葉にできているかどうかが分かれ目になる。言語化できていないまま同じことを繰り返すと、同じ結果になる。
春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。夏以降に動く学生は志望が固まっていることが多く、選考の設計も変わる。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
担当者が代わった場合
引き継ぎで最も失われるのは、判断の理由である。何をやったかは記録に残っていても、なぜそうしたかが残っていないことが多い。
話を聞ける相手がいるうちに、背景を押さえておきたい。それができないなら、前提を置き直して小規模に再開するほうが安全である。
採用人数を増やすことになった場合
人数が増えると、これまでのやり方がそのままでは回らなくなることが多い。手法を増やすか、工数を増やすか、外に出すかの判断が要る。
判断の基準は、担当者が確保できる時間である。時間が増えないなら、手法を増やすのではなく外に出すほうが現実的になる。
通年採用・秋採用を自社の言葉にする
春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。夏以降に動く学生は志望が固まっていることが多く、選考の設計も変わる。
自社の話に落とすときは、春に採り切れなかった場合の追加募集の時期を決めている、秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、通年で募集する場合の受け皿が用意されているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「採用がうまくいかないのは予算がないから」という説明も、確かめる価値がある。予算をかけずにできること(募集要項の書き直し、選考スピードの改善、辞退理由の記録)を先に済ませてから判断したい。
「前任者のやり方を踏襲する」のは安全に見えて、実は理由が分からないまま続けることになる。なぜその手法を選んだのかを確認できないなら、いったん前提を置き直したほうがよい。
「時間がないからできない」という説明は、多くの場合「優先順位が決まっていない」と言い換えられる。やらないことを決めれば、時間は作れることが多い。
自社に当てはめて考える
読んだ内容を実際に動かすには、自社の現状を確認しておく必要がある。次の項目に答えられるかどうかを見てほしい。
- 春に採り切れなかった場合の追加募集の時期を決めているかどうか
- 秋以降に動く学生向けに選考の設計を変えているかどうか
- 通年で募集する場合の受け皿が用意されているかどうか
- 既卒を対象に含めるかどうかを決めているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 通年採用・秋採用に、どのくらいの時間をかけるべきですか。
確保できる時間を先に決めて、その時間で回る量に合わせるのが原則です。逆に、やることに合わせて時間を捻出しようとすると、繁忙期に止まります。止まった取り組みは、やっていないのと同じ結果になります。
Q. 外部に任せるとしたら、どこまで任せられますか。
誰を採るかという判断は自社に残し、手を動かす部分を任せるのが基本の切り分けです。求める人物像と勤務条件が文章になっていないまま任せると、期待と成果がずれます。
Q. 複数の課題が同時にあります。どれからやるべきですか。
採用の流れの上流にあるものからです。母集団が足りていない状態で選考の設計を磨いても、効果は限定的になります。逆に、上流が足りているのに終盤で落ちているなら、選考側から手をつけます。
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この記事のまとめ
ここまでの内容は、どれも一度決めれば終わりというものではない。毎年の採用のなかで結果を見ながら調整していく前提で、まずは仮でよいので決め切ることをすすめたい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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