卸売・商社の内定辞退を減らす|どの段階で志望度が落ちているか
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
辞退は選考の途中で決まっている
辞退の連絡が来た時点で、学生の気持ちはとうに離れている。志望度が下がったのは選考の途中であり、内定後のフォローを厚くしてもあまり効かない。
勝負は序盤で決まる。最初の接触から一次面接までに関心を引けなければ、後半でいくら厚く接しても逆転しない。
段階ごとに分けて数える
応募→説明会→一次→二次→最終→内定→承諾の各段階で何人が残ったかを分けて数える。全体の辞退率だけでは、どこを直せばいいか分からない。
序盤で落ちるなら情報提供、中盤なら仕事内容の伝わり方、終盤なら条件と意思決定の問題であることが多い。
なお、制度やサービスの仕様は変わる。この記事の内容は考え方の部分を中心にしているが、具体的な手続きは必ず一次情報で確認してほしい。
卸売・商社でとくに起きやすいずれ
扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。取引先と自社の役割を一枚で説明できる資料があるかどうかが効く。
法人営業・仕入・調達・貿易事務のうちどの職種に配属されるかが決まっていないまま進めると、終盤で「思っていた仕事と違う」が出る。配属の決め方を先に説明しておきたい。
見極めと口説きを分ける
見極めと動機づけは場を分けたい。評価しない前提で現場社員と話す時間があるだけで、学生から出る質問の中身が変わる。
職場を見てもらう機会があるなら必ず入れる。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでも効果がある。
卸売・商社で募集する職種を分けて考える
卸売・商社が新卒で募集する職種は、法人営業、仕入・調達、貿易事務、物流管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば法人営業と物流管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。取引先と自社の役割を一枚で説明できる資料があるかどうかが効く。
よくある誤解
「若手が定着しないのは世代の問題」という説明は、原因の特定を止めてしまう。採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認するほうが、次の打ち手につながる。
「卸売・商社の仕事は入ってみないと分からない」という説明は、聞く側からすると判断を放棄されたように映る。一日の流れと、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
「同業に勝てないから他業種から採る」という発想は方向としては正しいが、そのままでは伝わらない。他業種の学生には、卸売・商社の仕事が何に似ているかを説明する言葉が要る。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 卸売・商社で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
Q. 未経験でも採れる仕事かどうか、どう伝えればいいですか。
入社後1年目に任せる範囲と、そこに至るまでの教育の流れを書くのが分かりやすい形です。「未経験歓迎」という言葉だけでは、何をどこまで教えてもらえるのかが伝わりません。
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- 観光・宿泊|繁閑差と勤務形態を正直に書いたほうが、入社後のミスマッチは確実に減る。
- 飲食・フードサービス|離職率のイメージが先行するため、労働時間と昇進の道筋を数字と制度で説明できるかが勝負になる。
- 化学・素材|装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。
- 採用単価・コスト|単価は媒体費だけでは測れない。
- 既卒・第二新卒|新卒だけで枠を埋めようとして未充足になるくらいなら、既卒・第二新卒を対象に含めたほうが早い。
- スカウト運用の内製と外注|内製か外注かは費用ではなく、継続できるかどうかで決めるべき。
この記事のまとめ
ここまでの内容は、どれも一度決めれば終わりというものではない。毎年の採用のなかで結果を見ながら調整していく前提で、まずは仮でよいので決め切ることをすすめたい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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