地方拠点で印刷・紙・包装の新卒を採る|勤務地の伝え方
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
勤務地は県名で書かない
県名だけでは通勤も住まいも想像できない。市区町村まで下ろし、最寄りの駅や道路、通う手段まで添えたい。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
配属の可能性がある拠点を全部出す
印刷・紙・包装の企業は複数拠点を持つことが多い。「本社または各事業所」という書き方は、終盤で辞退される原因になる。
配属の可能性がある拠点を全部挙げ、初年度の配属がどう決まるかを説明する。決まっていないなら「決まっていない」と書くほうがよい。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
住まいと通勤を金額で示す
遠方から来る学生は、まず住む場所を気にする。社宅・寮・補助・引越費用のいずれかがあるなら、金額と条件まで書いておきたい。
通勤に車が要るかどうかは、学生の負担に直結する。免許、購入の要否、駐車場、費用の支援まで先に示しておきたい。
地方勤務を不利と決めつけない
通勤時間の短さと住居費の低さは、都市部の企業が給与で追いつけない領域である。ただし「暮らしやすい」では伝わらない。
通勤何分、家賃いくら、休日に何ができるか。ここまで落として初めて、判断材料として機能する。
印刷・紙・包装で募集する職種を分けて考える
印刷・紙・包装が新卒で募集する職種は、営業、制作、生産管理、企画などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば営業と企画では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
よくある誤解
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「同業に勝てないから他業種から採る」という発想は方向としては正しいが、そのままでは伝わらない。他業種の学生には、印刷・紙・包装の仕事が何に似ているかを説明する言葉が要る。
「内定を出せば終わり」という感覚も危うい。内定から入社までの数か月は学生がいちばん不安になる時期で、放置すれば他社に流れる。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 印刷・紙・包装で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
印刷・紙・包装という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 同業他社と条件で横並びになってしまいます。
条件で並ぶなら、任される範囲で差をつけるしかありません。入社1年目に何を任せるか、3年目に何を任せるかを具体的に書けると、同じ条件でも見え方が変わります。規模が小さいほど、この部分は書きやすいはずです。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
あわせて読みたい
- 建設・土木|資格取得の支援と、休日・残業の実態をどこまで正直に書けるかが応募の分かれ目になる。
- 教育・保育|志望度の高い学生が集まりやすい一方、待遇面で他業種と比較された瞬間に離れる。
- 電力・ガス・インフラ|安定というキーワードだけで語ると、同じ土俵の企業と区別がつかなくなる。
- 早期離職・定着|早期離職は配属後の問題ではなく、採用時に伝えた情報の問題であることが多い。
- 高卒採用|高卒採用は学校を通した独自のルールで動く。
- ダイレクトリクルーティング|求人を出して待つのではなく、こちらから個別に声をかける採用手法。
この記事のまとめ
最後に残るのは、学生に対して正直だったかどうかである。伝えにくいことを先に伝えた会社は、採用人数が少なくても入社後に崩れにくい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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