母集団形成|進め方と、何から手をつけるか
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
準備の段階で決めること
着手する前に、何のためにやるのかを一行で書けるようにしておきたい。母集団形成に取り組むこと自体が目的になると、成果の判断ができなくなる。
母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。ここを逆にすると、母数は増えても選考に乗らない応募ばかりが残る。
最小限の形で始める
完成形を目指すと着手が遅れる。まず小さく始めて、動かしながら直すほうが早い。最初から精度を求めないことが、結果的に精度を上げる。
具体的には、接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうかという形で始めると、準備に時間をかけずに動き出せる。
ここで挙げたやり方が合わない会社もある。人員体制と採用人数によって現実的な打ち手は変わるので、そのまま当てはめずに翻訳して読んでいただきたい。
続けられる量に合わせる
週に確保できる時間を先に決めて、その時間で回る量に合わせる。無理な量を設定して数週間で止まるより、少ない量を半年続けるほうが成果は出る。
止まった取り組みは、やっていないのと同じ結果になる。継続できる形かどうかを、着手前に確認しておきたい。
振り返りの設計
やったことと結果を残しておく。残っていなければ、翌年は同じ議論を最初からやり直すことになる。
結果より、判断の理由を残したい。前提が変わったときに、どこを見直せばよいかが分かるのは理由のほうである。
母集団形成を自社の言葉にする
母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。ここを逆にすると、母数は増えても選考に乗らない応募ばかりが残る。
自社の話に落とすときは、採用したい人数と配属先が決まっている、対象に含める地域の範囲が決まっている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「うまくいかなかったのは手法が悪かったから」と結論づけると、次も同じところでつまずく。設計が間違っていたのか、設計は正しいが実行できていなかったのか、実行する人手がなかったのか。この3つは切り分けて考えたい。
「採用がうまくいかないのは予算がないから」という説明も、確かめる価値がある。予算をかけずにできること(募集要項の書き直し、選考スピードの改善、辞退理由の記録)を先に済ませてから判断したい。
「まず情報収集から」という進め方も、度が過ぎると着手が遅れる。決めるべきことを仮で置いて動かしたほうが、分かることは多い。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 採用したい人数と配属先が決まっているかどうか
- 対象に含める地域の範囲が決まっているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 選考に乗せる最低条件を一行で言えるかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 社内で優先度が上がりません。
採用の話を人数の話だけで説明すると、経営層には緊急性が伝わりません。採れなかった場合に何が起きるか(どの業務が回らなくなるか)を配属先と一緒に言語化すると、判断が速くなります。
Q. 成果が出ているかどうかの判断がつきません。
短期で成果を測るのは難しいので、まずは実行量を見ます。決めた量を実行できているかどうかは、その週のうちに判断できます。成果は年度をまたいで効いてくるものが多く、数週間で見切ると効いているものを途中でやめてしまいます。
Q. 経営層に何を報告すればいいですか。
人数の進捗だけでなく、どの段階で学生が離れているかを示すと判断が速くなります。数字が揃っていないうちは、辞退理由をそのまま並べるだけでも十分に材料になります。
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この記事のまとめ
最後に残るのは、学生に対して正直だったかどうかである。伝えにくいことを先に伝えた会社は、採用人数が少なくても入社後に崩れにくい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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