母集団形成|地方の中小企業がまず押さえること
求人を出せば応募が来た時代の設計のまま、媒体だけを増やしている会社は多い。工数は増えるのに結果が変わらないのは、やり方ではなく前提が古いためである。
この課題の正体
母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。ここを逆にすると、母数は増えても選考に乗らない応募ばかりが残る。
母集団形成が話題になるとき、多くの場合は手法の話から始まる。しかし手法を変えても結果が変わらないなら、前提の置き方がずれている可能性が高い。
地方の中小企業にとっての意味
人員も予算も限られる会社では、母集団形成に割ける時間そのものが少ない。だからこそ、やることを絞る判断が先に来る。
他社の事例を縮小して真似ると、やることだけ残って効果が落ちる。小さくするのではなく、狙いを一つに絞って組み直したい。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
見るべき観点
母集団形成に取り組むとき、最低限この観点は押さえておきたい。
- 採用したい人数と配属先が決まっているかどうか
- 対象に含める地域の範囲が決まっているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 選考に乗せる最低条件を一行で言えるかどうか
最初の一歩
母集団形成のすべてを今年中に片づける必要はない。欠けているものを一つ選び、次のシーズンの最初に置くだけで十分な前進になる。
手をつけたら記録を残す。これをやらないと、翌年の担当者は同じ検討をもう一度ゼロからやることになる。
母集団形成を自社の言葉にする
母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。ここを逆にすると、母数は増えても選考に乗らない応募ばかりが残る。
自社の話に落とすときは、採用したい人数と配属先が決まっている、対象に含める地域の範囲が決まっている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「成果が出るまで続けるべき」という考え方も、無条件には正しくない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
「時間がないからできない」という説明は、多くの場合「優先順位が決まっていない」と言い換えられる。やらないことを決めれば、時間は作れることが多い。
「学生の質が下がった」という言い方も、原因の特定を止めてしまう。母集団の質は、対象の設定と伝える内容で決まる。集まる層が変わったなら、変えたのは自社の側である可能性が高い。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 採用したい人数と配属先が決まっているかどうか
- 対象に含める地域の範囲が決まっているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 選考に乗せる最低条件を一行で言えるかどうか
答えが人によって違う項目があれば、それ自体が発見である。社内で認識が揃っていないまま選考を進めると、面接官ごとに評価がぶれる。
よくある質問
Q. 他社の事例をそのまま真似してもいいですか。
規模・業種・地域が違うと、同じ打ち手でも効き方が変わります。事例は「何をやったか」ではなく「なぜそれを選んだか」を読み取って、自社の条件に翻訳して使うほうが外しません。
Q. 外部に任せるとしたら、どこまで任せられますか。
誰を採るかという判断は自社に残し、手を動かす部分を任せるのが基本の切り分けです。求める人物像と勤務条件が文章になっていないまま任せると、期待と成果がずれます。
Q. 去年と同じやり方で本当に大丈夫でしょうか。
去年の結果を数字で説明できるなら、続ける判断に根拠があります。説明できないなら、続けるかどうかの前に、まず数えるところから始めたいところです。
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この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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