運輸・物流の内定辞退を減らす|どの段階で志望度が落ちているか
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
辞退は選考の途中で決まっている
辞退の連絡が来た時点で、学生の気持ちはとうに離れている。志望度が下がったのは選考の途中で、内定後のフォローを厚くしてもあまり効かない。
手を打つべきは、初回接触から一次面接までの間である。ここで志望度が動かなければ、その後どれだけ丁寧に扱っても順位は変わらない。
段階ごとに分けて数える
段階ごとの残存人数を並べてみたい。合計の辞退率だけでは、原因がどこにあるかまでは見えてこない。
落ちる位置で原因の層が変わる。前半は情報不足、中盤は仕事の見せ方、後半は条件そのものを疑いたい。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
運輸・物流でとくに起きやすいずれ
労働集約型と見られがちだが、実際は拠点運営とデータ管理の比重が増えている。旧来のイメージのまま募集すると、本来向いている学生に届かない。
運行管理・倉庫管理・営業のうちどの職種に配属されるかが決まっていないまま進めると、終盤で「思っていた仕事と違う」が出る。配属の決め方を先に説明しておきたい。
見極めと口説きを分ける
評価する面接と、口説く面談を同じ場でやると、どちらも中途半端になる。配属予定の部署の社員と話す時間を、選考とは別に設けたい。
職場を見てもらう機会があるなら必ず入れる。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでも効果がある。
運輸・物流で募集する職種を分けて考える
運輸・物流が新卒で募集する職種は、運行管理、倉庫管理、営業、物流企画などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば運行管理と物流企画では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
労働集約型と見られがちだが、実際は拠点運営とデータ管理の比重が増えている。旧来のイメージのまま募集すると、本来向いている学生に届かない。
よくある誤解
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「若手が定着しないのは世代の問題」という説明は、原因の特定を止めてしまう。採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認するほうが、次の打ち手につながる。
「内定を出せば終わり」という感覚も危うい。内定から入社までの数か月は学生がいちばん不安になる時期で、放置すれば他社に流れる。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 運輸・物流で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えが人によって違う項目があれば、それ自体が発見である。社内で認識が揃っていないまま選考を進めると、面接官ごとに評価がぶれる。
よくある質問
Q. 早期離職が続いています。
受け入れ側の問題として扱う前に、採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認したいところです。良いことしか伝えていない採用は、必ず入社後に跳ね返ります。
Q. 技術職と事務職で、採用の進め方は変えるべきですか。
変えたほうがよいです。運行管理と倉庫管理では、学生が比較する相手も、判断の軸も違います。募集要項・接点の作り方・面接で見る項目を、職種ごとに分けて設計したいところです。
Q. 未経験でも採れる仕事かどうか、どう伝えればいいですか。
入社後1年目に任せる範囲と、そこに至るまでの教育の流れを書くのが分かりやすい形です。「未経験歓迎」という言葉だけでは、何をどこまで教えてもらえるのかが伝わりません。
あわせて読みたい
- 食品・飲料|地方に本社を置く企業が多く、地元での知名度は高いのに学生には「工場の仕事」としか見えていないことが多い。
- 自動車・輸送用機器|完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。
- 公益法人・団体・自治体関連|安定を求める学生が集まりやすい一方、仕事の中身が見えにくい。
- 初任給・給与設計|初任給は相場との比較で見られるが、学生が本当に気にしているのは3年後の見通し。
- 既卒・第二新卒|新卒だけで枠を埋めようとして未充足になるくらいなら、既卒・第二新卒を対象に含めたほうが早い。
- スカウト運用の内製と外注|内製か外注かは費用ではなく、継続できるかどうかで決めるべき。
この記事のまとめ
ここまでの内容は、どれも一度決めれば終わりというものではない。毎年の採用のなかで結果を見ながら調整していく前提で、まずは仮でよいので決め切ることをすすめたい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964