運輸・物流で新卒の母集団を作る|応募が集まらないときの切り分け
採用がうまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。社内では当たり前になっていることを、外から見て分かる言葉に直せているかどうかの差であることが多い。
原因は3つのどれかにある
応募が来ないとき、原因は露出・条件・訴求のどれかにある。順番に切り分けないまま媒体を増やしても、同じ結果になる。
切り分けの方法は単純で、掲載している媒体の閲覧数と応募数を見ればよい。閲覧が少なければ露出、閲覧はあるのに応募がなければ条件か訴求である。
運輸・物流のイメージが足切りを生む
労働集約型と見られがちだが、実際は拠点運営とデータ管理の比重が増えている。旧来のイメージのまま募集すると、本来向いている学生に届かない。
業種名だけで判断されると、運行管理・倉庫管理・営業といった仕事の中身が見られる前に候補から外れる。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始めるだけでも、読まれ方が変わる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
こちらから探しに行く経路を持つ
運輸・物流という括りで候補から外している学生には、求人を出して待っていても届かない。こちらから声をかける手段があって初めて、中身を見てもらえる。
スカウト型のサービスでは、学生のプロフィールを読んでから送る相手を決める。業種で敬遠する層を最初から外し、相性のよい層にだけ時間を使える。
経路ごとに数える
学校経由、説明会、インターン、紹介、スカウト、直接応募。この6つに分けて昨年の実績を数えると、どこが細いかが見える。
多くの会社は一つの経路に依存している。その経路が不調だった年に採用できなくなるのは、このためである。
運輸・物流で募集する職種を分けて考える
運輸・物流が新卒で募集する職種は、運行管理、倉庫管理、営業、物流企画などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば運行管理と物流企画では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
労働集約型と見られがちだが、実際は拠点運営とデータ管理の比重が増えている。旧来のイメージのまま募集すると、本来向いている学生に届かない。
よくある誤解
「運輸・物流は学生に人気がないから仕方ない」という前提を置くと、そこから先の打ち手が出てこない。業種のイメージで足切りされているなら、業種名より先に仕事の中身を見せる順番に変えるだけで、読まれ方は変わる。
「若手が定着しないのは世代の問題」という説明は、原因の特定を止めてしまう。採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認するほうが、次の打ち手につながる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 運輸・物流で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
Q. 採用サイトを作るべきでしょうか。
作る前に、載せる中身が揃っているかを確認したいところです。仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例。この4つがあれば形式は問われません。逆に、中身のないサイトを作ると、接点を持った学生の志望度を下げる側に働きます。
Q. 配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
あわせて読みたい
- 不動産・住宅|営業のイメージだけで敬遠されやすい。
- 機械・精密・電子部品|ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。
- 印刷・紙・包装|紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。
- 応募数の確保|応募ゼロの原因は、露出・条件・訴求のどれかに必ずある。
- 住宅手当・社宅・寮|地方採用では住まいの条件が志望度を直接動かす。
- 応募者管理と選考の可視化|高機能なツールを入れる前に、いま誰がどの段階にいるかを一枚で見られる状態を作るほうが先。
この記事のまとめ
今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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