化学・素材のインターンシップ設計|仕事の実感をどう渡すか
新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。
目的を先に決める
会社を知ってもらう場なのか、こちらが見極める場なのか。どちらを主目的にするかで、内容も期間も変わる。決めないまま始めると、職場見学の域を出ない。
終わったあとの接触まで決めて、初めて採用施策になる。当日で完結する企画は、成果の測りようがない。
業種のイメージを更新する機会になる
装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。研究職志望の学生には、設備と研究テーマの具体が刺さる。
研究開発・プロセス技術・品質保証のうち、学生のイメージから最も遠い職種を見せると印象が変わる。普段どおりの仕事を見せるだけで十分な場合が多い。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
人手をかけずに成立させる
規模は小さく始めたい。社員が一人つけば成立する範囲にしておかないと、翌年に続かず単発で終わる。
凝った課題を用意するより、研究開発の普段の業務をそのまま見せたほうが印象に残る。
参加後の接触を決めておく
成果は実施中ではなく実施後に決まる。参加した学生と、いつ何回接触するかを先に決めておく。
距離感が難しいところで、急かせば引かれ、空ければ忘れられる。月1回の近況確認に留め、担当者を決めておきたい。
化学・素材で募集する職種を分けて考える
化学・素材が新卒で募集する職種は、研究開発、プロセス技術、品質保証、設備管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば研究開発と設備管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。研究職志望の学生には、設備と研究テーマの具体が刺さる。
よくある誤解
「若手が定着しないのは世代の問題」という説明は、原因の特定を止めてしまう。採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認するほうが、次の打ち手につながる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「化学・素材の仕事は入ってみないと分からない」という説明は、聞く側からすると判断を放棄されたように映る。一日の流れと、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 化学・素材で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一度埋めたら終わりではない。翌年の採用が始まる前にもう一度見直すと、前提が変わっている箇所が見つかる。
よくある質問
Q. 職種ごとに募集要項を分ける必要はありますか。
分けたほうが応募は増えます。研究開発・プロセス技術・品質保証では、学生が比較する相手も判断の軸も違います。ひとつにまとめると、どの職種の学生にも刺さらない文章になります。
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
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この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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