化学・素材で新卒の母集団を作る|応募が集まらないときの切り分け
施策を増やしても採用人数が増えないのは、工数が分散しているからである。手を広げるほど一つあたりの密度が下がり、どれも決め手にならなくなる。
原因は3つのどれかにある
原因は3つに絞られる。見られていないのか、見られたうえで条件で外れているのか、条件は合うのに選ばれていないのか。ここを分けずに手を打っても当たらない。
露出の問題なら、そもそも学生の目に触れていない。条件の問題なら、見られているが足切りされている。訴求の問題なら、条件は合っているが選ばれていない。化学・素材の場合、三つ目であることが多い。
化学・素材のイメージが足切りを生む
装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。研究職志望の学生には、設備と研究テーマの具体が刺さる。
イメージを変えようとするより、イメージの外側にある仕事を先に見せたほうが早い。企画、開発、データ管理といった業務が実際にあるなら、それを前に出す。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
こちらから探しに行く経路を持つ
待って集める手法では、業種のイメージで足切りする層には届かない。個別に声をかけられる経路があれば、その層にも仕事の中身から説明できる。
スカウト型のサービスでは、学生のプロフィールを読んでから送る相手を決める。業種で敬遠する層を最初から外し、相性のよい層にだけ時間を使える。
経路ごとに数える
経路を6つに分けて、昨年それぞれ何人だったかを並べる。合計では見えなかった偏りが、この作業だけで分かる。
多くの会社は一つの経路に依存している。その経路が不調だった年に採用できなくなるのは、このためである。
化学・素材で募集する職種を分けて考える
化学・素材が新卒で募集する職種は、研究開発、プロセス技術、品質保証、設備管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば研究開発と設備管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。研究職志望の学生には、設備と研究テーマの具体が刺さる。
よくある誤解
「化学・素材は学生に人気がないから仕方ない」という前提を置くと、そこから先の打ち手が出てこない。業種のイメージで足切りされているなら、業種名より先に仕事の中身を見せる順番に変えるだけで、読まれ方は変わる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「内定を出せば終わり」という感覚も危うい。内定から入社までの数か月は学生がいちばん不安になる時期で、放置すれば他社に流れる。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 化学・素材で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. 技術職と事務職で、採用の進め方は変えるべきですか。
変えたほうがよいです。研究開発とプロセス技術では、学生が比較する相手も、判断の軸も違います。募集要項・接点の作り方・面接で見る項目を、職種ごとに分けて設計したいところです。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
あわせて読みたい
- 食品・飲料|地方に本社を置く企業が多く、地元での知名度は高いのに学生には「工場の仕事」としか見えていないことが多い。
- 卸売・商社|扱う商材が学生に伝わりにくく、「何をしている会社か分からない」で終わりやすい。
- 飲食・フードサービス|離職率のイメージが先行するため、労働時間と昇進の道筋を数字と制度で説明できるかが勝負になる。
- インターンシップ|インターンは会社を知ってもらう場であると同時に、こちらが学生を見極める場でもある。
- 内定者フォロー|内定から入社までの期間は、学生がいちばん不安になる時期。
- 新卒ダイレクトリクルーティング媒体の選び方|媒体ごとに学生の層と使い方が違う。
この記事のまとめ
採用の巧拙は、特別な施策ではなく前提の置き方で決まる。前提を書き出して社内で見せ合うだけでも、噛み合っていない部分が見えてくる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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