山口県の大学・高専と接点をつくる|キャリアセンターとの付き合い方
学生が知りたいのは会社の実績ではなく、自分がそこで何をするかである。この一点に答えていない情報は、どれだけ量があっても判断材料にならない。
学校経由のルートは一年では作れない
山口大学をはじめ、山口県の学校と関係を作りたいという相談は多い。ただし、求人票を送って翌年から学生が来るということはまず起こらない。学校側から見て「この会社なら学生を送っても大丈夫」と判断されるまでには、複数年の接触が要る。
逆に言えば、一度信頼が積み上がると、規模の大きさに関係なく学生を紹介してもらえるようになる。地方企業にとっては投資に見合うルートである。
最初の接触で何を持っていくか
キャリアセンターを訪ねるときは、求人票より先に「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明できる資料を持っていきたい。職種ごとに入社後3年の変化まで書いてあると、話がはやい。
山口県の企業であれば、化学や石油といった地域の主要産業との関係も添えておくとよい。学生に説明するときの文脈を、学校側が作りやすくなる。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
研究室・学科との接点は別ルート
研究室との関係は、採用のためだけに作ると続かない。共同研究、設備の相互利用、技術相談といった事業上の接点から入ったほうが、結果的に採用にもつながる。
この経路は担当者個人のつながりに依存しやすい。誰がどの先生と接点を持っているかを社内で共有し、引き継げる形にしておきたい。
学内行事への関わり方
学内の行事に参加するなら、当日の運営より前後の設計に手をかけたい。座って待つだけの出展は、知名度のある会社を利するだけで終わる。
事前には、参加予定の学生に向けて何を持ち帰ってもらうかを一行で決めておく。事後には、話した学生に個別の連絡を入れる。この二つをやるかやらないかで、同じ行事でも歩留まりがまるで変わる。
学校ルートだけに頼らない
学校経由は関係づくりに時間がかかるぶん、成果が出るまでの間をどう埋めるかが課題になる。その期間の母集団を支える手段として、スカウト型の手法を並行して走らせておきたい。
山口県の採用を考えるときの基礎データ
山口県の主な産業は化学、石油、セメント、水産である。企業の集積は山口市と下関に偏りやすく、周南・宇部に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては山口大学、山口県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した山口出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
中国という括りで見ると、山口の企業が比較される相手は三つに分かれる。中国の同業、山口市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「学生は都会に出たがる」と決めつけるのも危うい。山口県での勤務を希望している学生は実際に存在するが、その層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないことが多い。見つけられないことと、いないことは別である。
「採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、求める人物像も決まらず、面接での判断もぶれる。
「まず採用サイトを作る」という順番も、実は後回しでよいことが多い。採用サイトは興味を持った学生が確認しに来る場所であって、認知を作る場所ではない。先に必要なのは、山口県の学生や山口出身者と接点を持つ手段のほうである。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 山口県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。山口・下関・周南のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。
手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。
Q. オンラインでの選考だけで内定を出してもよいのでしょうか。
対面の機会をどこかに一度は入れたほうが、入社後のずれは減ります。ただし山口県の企業が県外の学生を対象にする場合、最初から対面を求めると接点そのものが作れません。序盤はオンラインで完結させ、終盤で一度来てもらう(交通費の扱いを先に明示する)という順番が現実的です。
あわせて読みたい
- 鳥取県の新卒採用|人口規模が小さいぶん、一社が採用に本気を出すと県内では目立てる。
- 岡山県の新卒採用|中国・四国の結節点で、周辺県から学生が集まりやすい。
- 広島県の新卒採用|中国地方では学生が最も集まる県で、県外の企業も広島で説明会を開く。
- 母集団形成|母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。
- 新卒ダイレクトリクルーティング媒体の選び方|媒体ごとに学生の層と使い方が違う。
- 応募者管理と選考の可視化|高機能なツールを入れる前に、いま誰がどの段階にいるかを一枚で見られる状態を作るほうが先。
この記事のまとめ
やることを一つ決めたら、いつまでに誰がやるかまで書き出しておきたい。担当と期限のない改善案は、翌年の反省会でもう一度同じ言葉で出てくる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964