沖縄県の求人票・採用ページを書き直す|応募が増える具体の出し方
人手が足りないから採用する、という順番で動くと、必ず急いで決めることになる。急いだ採用は入社後にずれが出やすく、翌年また同じことを繰り返す。
求人票は条件表ではない
求人票を「条件を漏れなく書く書類」と捉えると、読んでも何も伝わらないものができる。学生が求人票から得たいのは、入社後の自分の一日である。
抽象語を一つ減らして具体を一つ増やす、という作業を繰り返すだけで読み手の反応は変わる。
書き換えの手順
仕事内容の欄は、朝から夕方までの流れとして書くと具体になる。誰と、何を使って、どこまでやるか。この3点が入っていれば十分である。
求める人物像は、社内の誰が読んでも同じ人を思い浮かべられる粒度にする。「コミュニケーション能力がある人」ではなく「初対面の相手に自分から質問できる人」のように、行動で書く。
ここで挙げたやり方が合わない会社もある。人員体制と採用人数によって現実的な打ち手は変わるので、そのまま当てはめずに翻訳して読んでいただきたい。
書きにくいことこそ先に書く
勤務地、転勤の有無、休日、残業の実態。書きにくい項目を曖昧にしておくと、選考の終盤で辞退の理由になる。沖縄県の企業では、勤務地と通勤手段がとくにここに該当する。
若年人口の比率が高く、県内就職を望む学生が多い珍しい県。一方で賃金水準が全国平均を下回りやすく、初任給以外の部分で差をつける設計が要る。
採用ページは確認しに来る場所
採用ページは、応募を取る場所ではなく、興味を持った学生が確認しに来る場所である。スカウトや説明会で接点を持った後に必ず見られるので、ここが空だと前段の効果が消える。
凝ったデザインより、情報が揃っていることのほうが重要になる。仕事内容、条件、選考の流れ、社員の実例。この4つが揃っていれば形式は問われない。
見直しの観点
既存の求人票を点検するなら、次の観点で読み返したい。
- 仕事内容が、一日の流れとして書かれているか
- 勤務地が市区町村まで書かれているか
- 求める人物像が、行動で書かれているか
- 初任給だけでなく、手当と昇給の考え方が書かれているか
- 選考の流れと所要日数が書かれているか
沖縄県の採用を考えるときの基礎データ
沖縄県の主な産業は観光、情報通信、建設、食品である。企業の集積は那覇市と沖縄に偏りやすく、浦添・宜野湾に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては琉球大学、沖縄国際大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した沖縄出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
九州・沖縄という括りで見ると、沖縄の企業が比較される相手は三つに分かれる。九州・沖縄の同業、那覇市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「合同説明会に出れば知ってもらえる」という期待も、実際には裏切られやすい。ブースに座って待つ形では、知名度のある企業に人が流れる。出展するなら、事前の告知と事後の個別連絡まで含めて設計しないと投資が回収できない。
「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。
自社に当てはめて考える
次の項目は、採用担当だけでは答えられないものを含んでいる。配属先の上長と一緒に確認するほうが早く埋まる。
- 沖縄県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
一度埋めたら終わりではない。翌年の採用が始まる前にもう一度見直すと、前提が変わっている箇所が見つかる。
よくある質問
Q. 県内の学生だけでは母集団が足りません。どうすればいいですか。
沖縄県に限らず、県内在住の学生だけで計画を埋めようとすると早い段階で頭打ちになります。進学で県外に出た沖縄出身の学生を対象に含めると、母数は大きく変わります。ただしこの層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないため、こちらから探しに行ける手段がないと接点が作れません。
Q. 求人媒体への掲載はやめるべきですか。
やめる必要はありませんが、位置づけは変えたいところです。媒体は「知っている人が来る場所」であり、知らない人と出会う場所ではありません。認知を作る手段を別に持ったうえで、受け皿として使うのが噛み合います。
Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。
キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。
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この記事のまとめ
採用の設計は、一度作ったら終わりではない。毎年の結果を見て、どこを変えてどこを変えないかを決める作業そのものが設計である。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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