岩手県の新卒が辞めない会社にする|採用時点で決まっていること
採用がうまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。社内では当たり前になっていることを、外から見て分かる言葉に直せているかどうかの差であることが多い。
離職の原因は入社前にある
岩手県の企業で聞く早期離職の理由には、勤務地・通勤・休日の想定違いが絡むことが多い。仕事そのものへの不満より、生活が想像と違ったという話のほうが多い。
良いことだけを伝えて採用した場合、その差は必ず入社後に跳ね返る。採用時点での正直さは、定着の投資として見たほうがよい。
伝えにくいことを伝える技術
繁忙期の忙しさ、最初の1年で任される範囲の狭さ、転勤の可能性。伝えると印象が悪くなりそうな情報ほど、先に出したほうがよい。
出し方には工夫がある。事実だけを並べ、それに対して会社がどう向き合っているかを添える。「繁忙期は残業が増えるが、その分の代休をこう取っている」という形なら、正直さと配慮の両方が伝わる。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
配属後の最初の3か月
最初の3か月をどう設計するかで、その後の定着が大きく変わる。決めている会社と、現場任せの会社では結果に差が出る。
同期がいない、または少ない会社では、孤立が最大のリスクになる。県外から来た社員はとくにそうで、地域での生活の立ち上げまで会社が見ておきたい。
辞めた理由を残す
離職者が出たとき、理由を聞いて記録している会社は少ない。聞かなければ、翌年も同じ理由で人を失うことになる。
記録するのは本人の言葉だけでなく、採用時にどう説明していたかも併せて残したい。説明と実態のずれが見えてくると、採用の直し方が具体的になる。
岩手県の採用を考えるときの基礎データ
岩手県の主な産業は自動車部品、半導体・電子部品、食品、観光である。企業の集積は盛岡市と北上に偏りやすく、一関・花巻に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては岩手大学、岩手県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した岩手出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
北海道・東北という括りで見ると、岩手の企業が比較される相手は三つに分かれる。北海道・東北の同業、盛岡市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。
「まず採用サイトを作る」という順番も、実は後回しでよいことが多い。採用サイトは興味を持った学生が確認しに来る場所であって、認知を作る場所ではない。先に必要なのは、岩手県の学生や岩手出身者と接点を持つ手段のほうである。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 岩手県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。盛岡・北上・一関のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. 内定を出しても辞退されます。
辞退は内定後ではなく選考の途中で決まっています。応募から一次面接までの日数、面接から結果連絡までの日数を決めて学生に先に伝え、その通りに動くだけでも志望度は変わります。あわせて、評価をしない面談(配属予定の部署の社員と話す時間)をどこかに入れておきたいところです。
Q. 地元の学生に絞ったほうがいいですか。
絞るかどうかではなく、両方を別の対象として扱うのが現実的です。岩手県在住の学生には学校経由や地域のイベントが効き、県外に出た出身者にはこちらから個別に声をかける手段が要ります。同じ手法で両方を追うと、どちらも取りこぼします。
あわせて読みたい
- 北海道の新卒採用|学生も企業も札幌圏に集まる一方で、道北・道東は面積が広く、説明会に足を運んでもらう前提の採用が成り立ちにくい。
- 宮城県の新卒採用|東北では例外的に学生が集まる県で、県外の大手も仙台に説明会を持ち込んでくる。
- 秋田県の新卒採用|若年層の県外流出が全国でも早い段階から続いてきた地域で、新卒だけに頼らない採用設計が現実的な選択肢になる。
- 求人票・募集要項の書き方|求人票は条件の一覧ではなく、読んだ人が自分の一日を想像できる文章であるべき。
- リファラル採用・社員紹介|社員紹介は無料で使える手段だが、制度がないまま呼びかけても動かない。
- 高卒採用|高卒採用は学校を通した独自のルールで動く。
この記事のまとめ
今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964