岩手県でダイレクトリクルーティングを始める|最初の3か月でやること
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
なぜ地方企業ほどスカウト型が効くのか
ダイレクトリクルーティングの本質は、母集団を増やすことではなく、会いたい学生に確実に情報を届けることにある。岩手県のように対象が散らばっている地域ほど、この性質が効いてくる。
岩手県の企業にとって大きいのは、居住地に関係なく同じ条件でアプローチできることである。最初の接点に移動が要らないぶん、距離の不利がそのままでは効かなくなる。
1か月目:対象と文面の型を決める
最初の月にやることは、送る相手の条件と、文面の骨格を決めることに尽きる。ここを決めずに送り始めると、反応の良し悪しを判断する材料が残らない。
対象の条件は、学部・専攻・希望勤務地・出身地の4項目から組む。岩手県の企業なら、岩手出身または北海道・東北での勤務を希望している層を軸に置くことになる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
2か月目:送りながら直す
2か月目からは、週に一度のペースで送信と振り返りを回す。一度に大量に送って結果を待つより、少数を送って文面を直すほうが早く精度が上がる。
数字は3つで足りる。開封・返信・面談である。件名の問題なのか、本文の問題なのか、調整の手間の問題なのか。落ちている段階が分かれば、直す場所は自動的に決まる。
3か月目:回る仕組みにする
岩手県の中小企業では、採用担当が他の業務と兼任していることが多い。週に確保できる時間を先に決めて、その時間内で回る本数に運用を合わせるほうが現実的である。
自社で続けられる見込みが立たないなら、運用を外部に出す判断も早いうちにしたい。止まった運用は、やっていないのと同じ結果になる。
立ち上げ時のチェックリスト
動き出す前に、次の項目が決まっているか確認したい。
- 送る対象の条件が、検索条件として入力できる粒度になっているか
- 文面の冒頭3行に「なぜあなたなのか」が書かれているか
- 返信が来たときの一次対応を、誰が何時間以内にやるか決まっているか
- 週あたりの送信本数と、確保する作業時間が決まっているか
- 面談の日程調整をどうやるか(候補提示か、予約URLか)が決まっているか
岩手県の採用を考えるときの基礎データ
岩手県の主な産業は自動車部品、半導体・電子部品、食品、観光である。企業の集積は盛岡市と北上に偏りやすく、一関・花巻に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては岩手大学、岩手県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した岩手出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
北海道・東北という括りで見ると、岩手の企業が比較される相手は三つに分かれる。北海道・東北の同業、盛岡市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「地方だから条件で負ける」というのも、半分しか当たっていない。額面では確かに都市部が上回ることが多いが、通勤時間と住居費まで含めた比較にすれば話は変わる。ただし、その計算を学生が自分ですることはない。岩手県で働いた場合の数字を、会社の側で用意する必要がある。
「学生は都会に出たがる」と決めつけるのも危うい。岩手県での勤務を希望している学生は実際に存在するが、その層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないことが多い。見つけられないことと、いないことは別である。
「採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、求める人物像も決まらず、面接での判断もぶれる。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 岩手県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。
手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。
Q. 地元の学生に絞ったほうがいいですか。
絞るかどうかではなく、両方を別の対象として扱うのが現実的です。岩手県在住の学生には学校経由や地域のイベントが効き、県外に出た出身者にはこちらから個別に声をかける手段が要ります。同じ手法で両方を追うと、どちらも取りこぼします。
Q. 社長が最終面接に出ますが、それで十分でしょうか。
経営者と直接話せることは中小企業の強みですが、最終面接だけに出ると「確認の場」になってしまいます。志望度は選考の前半で動くので、可能なら早い段階で一度顔を出すほうが効果は大きくなります。
あわせて読みたい
- 秋田県の新卒採用|若年層の県外流出が全国でも早い段階から続いてきた地域で、新卒だけに頼らない採用設計が現実的な選択肢になる。
- 山形県の新卒採用|内陸(山形・米沢)と庄内(鶴岡・酒田)で経済圏が分かれており、「県内」とひとくくりにすると通勤圏の説明が曖昧になる。
- 福島県の新卒採用|中通り・浜通り・会津の3地域で産業も生活圏も違い、県名だけで募集すると学生が自分の通勤を想像できない。
- 母集団形成|母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。
- 採用計画・採用目標|採用人数だけを決めて動き出すと、途中で何を判断すればいいか分からなくなる。
- スカウトの年間スケジュール|学生が動く時期と企業が動きたい時期はずれている。
この記事のまとめ
うまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。当たり前のことを、学生から見て分かる形で言語化できているかどうかの差であることが多い。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964