初任給・給与設計|工数と費用、どこまでやるかの線引き
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
費用より工数のほうが問題になる
初任給・給与設計に取り組むとき、費用が障害になることは意外に少ない。止まる理由の大半は、担当者の時間が確保できないことである。
初任給は相場との比較で見られるが、学生が本当に気にしているのは3年後の見通し。昇給の考え方まで示せると比較の土俵が変わる。
工数を数えてみる
月に何時間かかるかを、着手前に見積もっておきたい。見積もらずに始めると、他の業務と衝突したときに真っ先に止まる。
見積もるときは、入社3年目の年収の目安を示せるかどうかという作業にかかる時間を実際に計ってみるとよい。想定の倍かかることは珍しくない。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
費用の考え方
総額ではなく一人あたりで見たい。媒体費と外注費に加えて、担当者の時間と、辞めた場合の採り直しまで入れて初めて実態が出る。
前払いの費用は、結果が出なかった年にそのまま損失になる。数名規模の採用では、この当たり外れが読めないことが問題になる。
外に出すという選択
判断は自社に残し、手を動かす部分を外に出すという切り分けができる。工数が理由で止まるくらいなら、早めに外に出したほうが結果は出る。
当社はOfferBoxの運用代行を完全成果報酬型で提供している。入社の承諾に至ったときにのみ費用が発生するため、固定費を増やさずに手法を増やせる。
初任給・給与設計を自社の言葉にする
初任給は相場との比較で見られるが、学生が本当に気にしているのは3年後の見通し。昇給の考え方まで示せると比較の土俵が変わる。
自社の話に落とすときは、地域の相場に対する自社の位置を把握している、入社3年目の年収の目安を示せる、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、手当を金額と条件のセットで書いているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「成果が出るまで続けるべき」という考え方も、無条件には正しくない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
「数字で管理するのは大企業の話」というのも誤解である。記録するのは複雑な指標ではなく、手法ごとに何人採れたかという単純な数字でよい。これがないと、翌年また同じところから考え直すことになる。
「まず情報収集から」という進め方も、度が過ぎると着手が遅れる。決めるべきことを仮で置いて動かしたほうが、分かることは多い。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 地域の相場に対する自社の位置を把握しているかどうか
- 入社3年目の年収の目安を示せるかどうか
- 手当を金額と条件のセットで書いているかどうか
- 生活コストまで含めた比較材料を用意しているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 他社の事例をそのまま真似してもいいですか。
規模・業種・地域が違うと、同じ打ち手でも効き方が変わります。事例は「何をやったか」ではなく「なぜそれを選んだか」を読み取って、自社の条件に翻訳して使うほうが外しません。
Q. 去年と同じやり方で本当に大丈夫でしょうか。
去年の結果を数字で説明できるなら、続ける判断に根拠があります。説明できないなら、続けるかどうかの前に、まず数えるところから始めたいところです。
Q. 取り組んでも社内が変わりません。
採用担当だけで抱えている可能性があります。配属先の上長を巻き込んで、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるところからやり直すと、協力も得やすくなります。
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この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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