印刷・紙・包装の初任給と待遇設計|金額以外で比較される軸を作る
学生は会社を知らないのではなく、そもそも選択肢として認識していない。認識されていない状態から始める以上、こちらから名指しで声をかける手段が要る。
入口で足切りされない水準を確保する
金額が効くのは入口までである。そこを越えてしまえば判断材料は別に移るので、相場に並べたうえで他の材料を用意しておきたい。
印刷・紙・包装の場合、同業他社との比較になりやすい職種と、業種をまたいだ比較になる職種が混在する。営業と制作で、意識すべき相場が違うことがある。
3年後の見通しを書く
関心は入口の金額より、その後の上がり方にある。にもかかわらず、昇給の考え方まで書いている求人は少ない。
入社3年目の平均的な年収、評価の基準、昇給の頻度。この3つを書けるだけで比較の材料が増える。制度化していないなら、その旨を正直に書いたほうが信用される。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
手当は金額と条件をセットで
「各種手当あり」は何も言っていないのと同じである。金額・対象・期間の3つを書いて、初めて比較の対象になる。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
生活コストを含めて示す
地方勤務であれば、家賃や通勤にかかる費用は都市部と違う。額面が下回っていても手元に残る額では逆転することがあるが、この計算を学生が自分ですることはない。
相場と補助額を並記するだけで、比べる軸が一つ増える。費用のかからない打ち手である。
印刷・紙・包装で募集する職種を分けて考える
印刷・紙・包装が新卒で募集する職種は、営業、制作、生産管理、企画などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば営業と企画では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
よくある誤解
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「採用サイトにお金をかければ応募が来る」という期待も外れやすい。見た目より、仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例が揃っているかどうかで判断されている。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 印刷・紙・包装で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 職種ごとに募集要項を分ける必要はありますか。
分けたほうが応募は増えます。営業・制作・生産管理では、学生が比較する相手も判断の軸も違います。ひとつにまとめると、どの職種の学生にも刺さらない文章になります。
Q. 早期離職が続いています。
受け入れ側の問題として扱う前に、採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認したいところです。良いことしか伝えていない採用は、必ず入社後に跳ね返ります。
Q. 未経験でも採れる仕事かどうか、どう伝えればいいですか。
入社後1年目に任せる範囲と、そこに至るまでの教育の流れを書くのが分かりやすい形です。「未経験歓迎」という言葉だけでは、何をどこまで教えてもらえるのかが伝わりません。
あわせて読みたい
- 建設・土木|資格取得の支援と、休日・残業の実態をどこまで正直に書けるかが応募の分かれ目になる。
- 小売・専門店|店舗配属の範囲と、本部に上がるまでの道筋を示せるかで応募の質が変わる。
- 自動車・輸送用機器|完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。
- 求人票・募集要項の書き方|求人票は条件の一覧ではなく、読んだ人が自分の一日を想像できる文章であるべき。
- 採用サイト・採用ページ|採用サイトは応募を取る場所ではなく、興味を持った学生が確認しに来る場所。
- スカウト文面|文面は長さではなく、なぜあなたなのかが最初の3行に書いてあるかで読まれるかどうかが決まる。
この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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