印刷・紙・包装の業界イメージの壁を越える|採用広報で伝えること
新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。
イメージは変えられないが、迂回はできる
印刷・紙・包装という業種に対する学生のイメージを、一社の発信で変えることはできない。現実的な戦い方は、イメージの外側にある仕事を先に見せて、判断の順番を変えることである。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
社内では当たり前のことが武器になる
自社の強みを聞くと「社員の人柄」「アットホーム」と答える会社が多い。これらは他社と区別がつかないので、採用広報の材料にならない。
代わりに、自社の製品やサービスが最終的に誰の手に届いているかを説明したい。印刷・紙・包装の会社では、この接続が学生に見えていないことが多い。
なお、ここで挙げた順番が唯一の正解ではない。すでに手をつけている部分があるなら、そこは飛ばして次に進んでいただきたい。
発信する場所を絞る
媒体は一つでよい。手が足りない状態で分散させるより、採用サイトだけを充実させるほうが効く。
役割は集客ではなく確認である。接点を持った直後に見られるので、中身が薄いとそれまでの努力が無駄になる。
まず用意する3点
予算をかけずに作れるものから始めたい。
- 入社1〜3年目の社員が実際に何をしているかの記録(職種ごとに1件ずつ)
- 自社の製品・サービスが使われている場面の説明
- 選考の流れと、各段階で誰が出てくるかの一覧
印刷・紙・包装で募集する職種を分けて考える
印刷・紙・包装が新卒で募集する職種は、営業、制作、生産管理、企画などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば営業と企画では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
紙の印刷だけの会社と見られると、市場が縮小している業界と受け取られる。デジタル領域や企画提案まで含めた事業の広がりを示す必要がある。
よくある誤解
「印刷・紙・包装は学生に人気がないから仕方ない」という前提を置くと、そこから先の打ち手が出てこない。業種のイメージで足切りされているなら、業種名より先に仕事の中身を見せる順番に変えるだけで、読まれ方は変わる。
「仕事は入ってみないと分からない」というのは事実だが、それを理由に説明を省くと、入社後のずれがそのまま早期離職になる。営業・制作それぞれについて、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
「採用サイトにお金をかければ応募が来る」という期待も外れやすい。見た目より、仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例が揃っているかどうかで判断されている。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 印刷・紙・包装で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
印刷・紙・包装という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 現場が採用に協力してくれません。
人事だけで決めた計画は、現場の協力を得にくくなります。配属先の上長を計画づくりの段階から巻き込み、どんな人を何人受け入れるかを一緒に決めるほうが、面接への協力も得やすくなります。
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
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この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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