機械・精密・電子部品のインターンシップ設計|仕事の実感をどう渡すか
施策を増やしても採用人数が増えないのは、工数が分散しているからである。手を広げるほど一つあたりの密度が下がり、どれも決め手にならなくなる。
目的を先に決める
目的が二つあると設計が定まらない。認知が目的なら短く広く、見極めが目的なら長く狭く。先に決めておきたい。
終わったあとの接触まで決めて、初めて採用施策になる。当日で完結する企画は、成果の測りようがない。
業種のイメージを更新する機会になる
ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。どの製品が、どの最終製品のどこに使われているかを一文で言えるかが効く。
設計・生産技術・品質保証のうち、学生のイメージから最も遠い職種を見せると印象が変わる。普段どおりの仕事を見せるだけで十分な場合が多い。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
人手をかけずに成立させる
規模は小さく始めたい。社員が一人つけば成立する範囲にしておかないと、翌年に続かず単発で終わる。
凝った課題を用意するより、設計の普段の業務をそのまま見せたほうが印象に残る。
参加後の接触を決めておく
当日の出来より、その後の接触回数が効く。終わる前に次の連絡日まで決めておきたい。
選考への案内を急ぐと重く感じられ、放置すると忘れられる。月に一度、近況を聞く程度が扱いやすい。誰がやるかを決めないと必ず止まる。
機械・精密・電子部品で募集する職種を分けて考える
機械・精密・電子部品が新卒で募集する職種は、設計、生産技術、品質保証、技術営業などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば設計と技術営業では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。どの製品が、どの最終製品のどこに使われているかを一文で言えるかが効く。
よくある誤解
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「学生は安定を求めている」という説明も、言葉が大きすぎる。何をもって安定とするかは人によって違い、事業の継続性を指す人もいれば、勤務地が変わらないことを指す人もいる。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
自社に当てはめて考える
次の項目は、採用担当だけでは答えられないものを含んでいる。配属先の上長と一緒に確認するほうが早く埋まる。
- 機械・精密・電子部品で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
機械・精密・電子部品という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 同業他社と条件で横並びになってしまいます。
条件で並ぶなら、任される範囲で差をつけるしかありません。入社1年目に何を任せるか、3年目に何を任せるかを具体的に書けると、同じ条件でも見え方が変わります。規模が小さいほど、この部分は書きやすいはずです。
Q. 技術職と事務職で、採用の進め方は変えるべきですか。
変えたほうがよいです。設計と生産技術では、学生が比較する相手も、判断の軸も違います。募集要項・接点の作り方・面接で見る項目を、職種ごとに分けて設計したいところです。
あわせて読みたい
- 建設・土木|資格取得の支援と、休日・残業の実態をどこまで正直に書けるかが応募の分かれ目になる。
- IT・情報通信|地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。
- 化学・素材|装置産業のため勤務地が限られ、通勤・住まいの条件が志望度を大きく左右する。
- 選考フローの設計|選考が長い会社は、それだけで辞退される。
- 初任給・給与設計|初任給は相場との比較で見られるが、学生が本当に気にしているのは3年後の見通し。
- 応募者管理と選考の可視化|高機能なツールを入れる前に、いま誰がどの段階にいるかを一枚で見られる状態を作るほうが先。
この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964