IT・情報通信で新卒の母集団を作る|応募が集まらないときの切り分け
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
原因は3つのどれかにある
応募が来ないとき、原因は露出・条件・訴求のどれかにある。順番に切り分けないまま媒体を増やしても、同じ結果になる。
切り分けの方法は単純で、掲載している媒体の閲覧数と応募数を見ればよい。閲覧が少なければ露出、閲覧はあるのに応募がなければ条件か訴求である。
IT・情報通信のイメージが足切りを生む
地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。開発環境・扱う技術・リモートの可否という具体で語らないと、給与だけの比較になってしまう。
業種名だけで判断されると、エンジニア・社内SE・Webディレクターといった仕事の中身が見られる前に候補から外れる。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始めるだけでも、読まれ方が変わる。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
こちらから探しに行く経路を持つ
待って集める手法では、業種のイメージで足切りする層には届かない。個別に声をかけられる経路を持っておくと、この層にも仕事の中身から説明できる。
相手を選んでから書けるのが、この手法の利点である。合わない層に時間を使わずに済むぶん、一通あたりに手をかけられる。
経路ごとに数える
学校経由、説明会、インターン、紹介、スカウト、直接応募。この6つに分けて昨年の実績を数えると、どこが細いかが見える。
多くの会社は一つの経路に依存している。その経路が不調だった年に採用できなくなるのは、このためである。
IT・情報通信で募集する職種を分けて考える
IT・情報通信が新卒で募集する職種は、エンジニア、社内SE、Webディレクター、営業などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえばエンジニアと営業では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。開発環境・扱う技術・リモートの可否という具体で語らないと、給与だけの比較になってしまう。
よくある誤解
「仕事は入ってみないと分からない」というのは事実だが、それを理由に説明を省くと、入社後のずれがそのまま早期離職になる。エンジニア・社内SEそれぞれについて、最初の1年で任せる範囲だけでも書いておきたい。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「学生は安定を求めている」という説明も、言葉が大きすぎる。何をもって安定とするかは人によって違い、事業の継続性を指す人もいれば、勤務地が変わらないことを指す人もいる。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- IT・情報通信で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
IT・情報通信という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 職種ごとに募集要項を分ける必要はありますか。
分けたほうが応募は増えます。エンジニア・社内SE・Webディレクターでは、学生が比較する相手も判断の軸も違います。ひとつにまとめると、どの職種の学生にも刺さらない文章になります。
Q. 求人票に残業時間まで書く必要がありますか。
書いたほうが結果的に得になります。伏せておくと入社後に跳ね返り、早期離職という形で採用コストに戻ってきます。実態を書いたうえで、会社としてどう向き合っているかを添えるのが扱いやすい形です。
あわせて読みたい
- 不動産・住宅|営業のイメージだけで敬遠されやすい。
- 機械・精密・電子部品|ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。
- 公益法人・団体・自治体関連|安定を求める学生が集まりやすい一方、仕事の中身が見えにくい。
- 母集団形成|母集団は「多く集める」ものではなく「対象を決めてから集める」もの。
- 早期離職・定着|早期離職は配属後の問題ではなく、採用時に伝えた情報の問題であることが多い。
- 内定者フォロー|内定から入社までの期間は、学生がいちばん不安になる時期。
この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964