IT・情報通信の面接設計|何を見て、何を伝えるか
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
各段階で何を判断するかを決める
回数を増減させる前に、段階ごとの役割を決めたい。決まっていない面接は、どれだけ重ねても同じ話の繰り返しになる。
IT・情報通信であれば、一次で仕事への適性と勤務条件の確認、二次で職種ごとの資質、最終で意思の確認、という分け方が組みやすい。
評価がぶれる原因
評価がぶれるのは面接官の問題ではない。基準が言葉になっていないだけで、社内の誰かを基準に置けば像は揃う。
評価項目は4つまでに絞る。増やすほど、面接官は全体の印象で埋めるようになる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
面接で伝えるべきこと
地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。開発環境・扱う技術・リモートの可否という具体で語らないと、給与だけの比較になってしまう。
学生が知りたいのは、入社後の毎日である。仕事の流れ、一緒に働く人、最初の1年で任される範囲。これを面接のなかで伝えられると志望度が動く。
現場の社員を出す
エンジニアや社内SEとして実際に働いている社員が面接に出ると、説明の説得力が変わる。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
面接官になる社員には、評価の基準と、伝えるべきことの両方を事前に共有しておきたい。準備なしで出すと、雑談で終わる。
IT・情報通信で募集する職種を分けて考える
IT・情報通信が新卒で募集する職種は、エンジニア、社内SE、Webディレクター、営業などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえばエンジニアと営業では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
地方でも東京の企業と直接比較される数少ない業種。開発環境・扱う技術・リモートの可否という具体で語らないと、給与だけの比較になってしまう。
よくある誤解
「現場は忙しいから採用に関わらせられない」という判断も、結果的に高くつく。現場の社員が面接に出るかどうかで、説明の説得力はまったく違う。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- IT・情報通信で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
答えが人によって違う項目があれば、それ自体が発見である。社内で認識が揃っていないまま選考を進めると、面接官ごとに評価がぶれる。
よくある質問
Q. 業種名だけで敬遠されている感じがします。
IT・情報通信という括りで判断されると、仕事の中身が見られる前に候補から外れます。募集要項の冒頭を業種の説明ではなく仕事の説明から始める、スカウトの文面で業種名を先頭に置かない、といった順番の入れ替えだけでも読まれ方が変わります。
Q. 同業他社と条件で横並びになってしまいます。
条件で並ぶなら、任される範囲で差をつけるしかありません。入社1年目に何を任せるか、3年目に何を任せるかを具体的に書けると、同じ条件でも見え方が変わります。規模が小さいほど、この部分は書きやすいはずです。
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
あわせて読みたい
- 電力・ガス・インフラ|安定というキーワードだけで語ると、同じ土俵の企業と区別がつかなくなる。
- 機械・精密・電子部品|ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。
- 士業・コンサルティング|資格取得支援と、未経験からの育成計画をどこまで具体化できるかで応募が決まる。
- 知名度に頼らない採用|知名度は採用の前提条件ではない。
- 通年採用・秋採用|春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。
- スカウトテンプレートの運用|テンプレートは手を抜くためではなく、毎回の判断を減らして個別化に時間を使うために作る。
この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964