選考フローの設計|うまくいかない原因を切り分ける
新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。
原因を一つに決めつけない
選考フローの設計がうまくいかないとき、目立つ症状に飛びついて手を打つと外すことが多い。症状と原因は別の場所にあるのが普通である。
選考が長い会社は、それだけで辞退される。日数を短くするのではなく、どの段階に何を判断させるかを決めることで自然と短くなる。
切り分けの順番
切り分けの軸は3つでよい。考え方が間違っているのか、考え方は合っているが動けていないのか、そもそも動かす人がいないのか。
各段階で何を判断するかが文章になっているかどうかという点が満たされていないなら設計の問題、満たされているのに結果が出ていないなら実行か体制の問題である。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
実行できていない場合
設計が正しいのに結果が出ないケースで多いのは、途中で止まっているパターンである。担当者が忙しくなった月に止まり、そのまま再開されていない。
止まる原因はほぼ例外なく工数である。やり方を変えるより、量を減らして続けられる形にするほうが成果につながる。
確かめるための問い
以下に即答できるかどうかで、どの層に原因があるかの見当はつく。
- 各段階で何を判断するかが文章になっているかどうか
- 各段階で学生に何を伝えるかが決まっているかどうか
- 面接から結果連絡までの日数が決まっているかどうか
- 選考の流れを学生に先に伝えているかどうか
選考フローの設計を自社の言葉にする
選考が長い会社は、それだけで辞退される。日数を短くするのではなく、どの段階に何を判断させるかを決めることで自然と短くなる。
自社の話に落とすときは、各段階で何を判断するかが文章になっている、各段階で学生に何を伝えるかが決まっている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、面接から結果連絡までの日数が決まっているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「うまくいかなかったのは手法が悪かったから」と結論づけると、次も同じところでつまずく。設計が間違っていたのか、設計は正しいが実行できていなかったのか、実行する人手がなかったのか。この3つは切り分けて考えたい。
「選考フローの設計は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、判断の基準が作れない。
「ツールを入れれば解決する」という期待も外れやすい。運用の型ができていない状態でツールを入れると、入力されないまま放置される。まず表計算ソフト一枚で回してみるほうが早い。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 各段階で何を判断するかが文章になっているかどうか
- 各段階で学生に何を伝えるかが決まっているかどうか
- 面接から結果連絡までの日数が決まっているかどうか
- 選考の流れを学生に先に伝えているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 外部に任せるとしたら、どこまで任せられますか。
誰を採るかという判断は自社に残し、手を動かす部分を任せるのが基本の切り分けです。求める人物像と勤務条件が文章になっていないまま任せると、期待と成果がずれます。
Q. 小さく始めるとして、どこまで小さくていいですか。
1週間で終わる規模まで落として構いません。やってみて分かることのほうが多く、準備に時間をかけるほど着手が遅れます。小さく始めて、続けられる量を確かめてから広げるのが安全です。
Q. 複数の課題が同時にあります。どれからやるべきですか。
採用の流れの上流にあるものからです。母集団が足りていない状態で選考の設計を磨いても、効果は限定的になります。逆に、上流が足りているのに終盤で落ちているなら、選考側から手をつけます。
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この記事のまとめ
最後に残るのは、学生に対して正直だったかどうかである。伝えにくいことを先に伝えた会社は、採用人数が少なくても入社後に崩れにくい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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