内定辞退の防止|場面ごとの考え方
人手が足りないから採用する、という順番で動くと、必ず急いで決めることになる。急いだ採用は入社後にずれが出やすく、翌年また同じことを繰り返す。
着手したばかりの場合
内定辞退の防止にこれから取り組む段階では、精度より着手の早さを優先したい。完成形を目指すほど動き出しが遅れる。
まず応募から一次面接までの日数が決まっているかどうかという点だけを決めて、動かしながら他を埋めていくほうが早い。
一度やってみて成果が出なかった場合
前回うまくいかなかった理由を言葉にできているかどうかが分かれ目になる。言語化できていないまま同じことを繰り返すと、同じ結果になる。
辞退は内定を出した後に始まるのではなく、選考の途中で決まっている。どの段階で志望度が下がったかを追えるかが分かれ目になる。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
担当者が代わった場合
引き継ぎで最も失われるのは、判断の理由である。何をやったかは記録に残っていても、なぜそうしたかが残っていないことが多い。
話を聞ける相手がいるうちに、背景を押さえておきたい。それができないなら、前提を置き直して小規模に再開するほうが安全である。
採用人数を増やすことになった場合
人数が増えると、これまでのやり方がそのままでは回らなくなることが多い。手法を増やすか、工数を増やすか、外に出すかの判断が要る。
判断の基準は、担当者が確保できる時間である。時間が増えないなら、手法を増やすのではなく外に出すほうが現実的になる。
内定辞退の防止を自社の言葉にする
辞退は内定を出した後に始まるのではなく、選考の途中で決まっている。どの段階で志望度が下がったかを追えるかが分かれ目になる。
自社の話に落とすときは、選考の段階ごとに残った人数を数えている、応募から一次面接までの日数が決まっている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、評価をしない面談の場が選考のどこかに入っているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「採用がうまくいかないのは予算がないから」という説明も、確かめる価値がある。予算をかけずにできること(募集要項の書き直し、選考スピードの改善、辞退理由の記録)を先に済ませてから判断したい。
「時間がないからできない」という説明は、多くの場合「優先順位が決まっていない」と言い換えられる。やらないことを決めれば、時間は作れることが多い。
「学生の質が下がった」という言い方も、原因の特定を止めてしまう。母集団の質は、対象の設定と伝える内容で決まる。集まる層が変わったなら、変えたのは自社の側である可能性が高い。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 選考の段階ごとに残った人数を数えているかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
- 評価をしない面談の場が選考のどこかに入っているかどうか
- 辞退の理由を聞いて記録しているかどうか
一度埋めたら終わりではない。翌年の採用が始まる前にもう一度見直すと、前提が変わっている箇所が見つかる。
よくある質問
Q. 成果が出ているかどうかの判断がつきません。
短期で成果を測るのは難しいので、まずは実行量を見ます。決めた量を実行できているかどうかは、その週のうちに判断できます。成果は年度をまたいで効いてくるものが多く、数週間で見切ると効いているものを途中でやめてしまいます。
Q. 外部に任せるとしたら、どこまで任せられますか。
誰を採るかという判断は自社に残し、手を動かす部分を任せるのが基本の切り分けです。求める人物像と勤務条件が文章になっていないまま任せると、期待と成果がずれます。
Q. 社内に前例がなく、判断がつきません。
前例がないこと自体は障害になりません。決めるべきことを書き出して、仮でよいので置いてしまうほうが前に進みます。置いた前提が違っていたら、次の年に直せば足ります。
あわせて読みたい
- 人事1人の採用体制|一人で回す前提なら、手法を増やすより捨てる判断のほうが重要になる。
- 採用ブランディング|ブランディングは広告を打つことではない。
- 福利厚生・働き方|制度は数ではなく、実際に使われているかどうかで評価される。
- OfferBoxの運用|登録して終わりでは結果が出ない。
- スカウト運用の内製と外注|内製か外注かは費用ではなく、継続できるかどうかで決めるべき。
- 人口減少と採用|母集団が構造的に減る前提で、採用以外の手段も含めて人員計画を考える必要がある。
この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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