地方創生・自治体の採用支援|学生にどう伝えるか、具体まで落とす
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
抽象語では伝わらない
「暮らしやすい」「働きやすい」といった言葉は、学生の判断材料にならない。どの会社も同じことを書いているためである。
自治体の支援制度は年度ごとに変わる。使う前提で設計するより、使えたら加点という位置づけにしておきたい。
数字と場面で書く
所要時間、家賃、休日の過ごし方。数字と具体に置き換えて、ようやく判断材料になる。
制度がなくても成立する採用計画になっているかどうかという点も、金額や頻度まで書くと印象が変わる。制度の有無だけでは伝わらない。
同じ打ち手でも、業種と地域が変われば効き方が変わる。うまくいかなかったときに手法のせいにする前に、前提が自社と合っていたかを見直したい。
不利な情報も出す
不利な条件を伏せると、最後の段階で断りの理由になる。先に出したほうが、残った相手は最後まで進む。
出し方には工夫がある。事実を並べ、それに会社がどう向き合っているかを添えると、正直さと配慮の両方が伝わる。
書く場所
募集要項、採用ページ、スカウト文面、面接での説明。同じ内容を複数の場所で一貫して伝えたい。
媒体ごとに記述が食い違うと、それだけで信用が落ちる。正本を一つ決めて、他はそこに合わせる運用が楽である。
地方創生・自治体の採用支援を自社の言葉にする
自治体の支援制度は年度ごとに変わる。使う前提で設計するより、使えたら加点という位置づけにしておきたい。
自社の話に落とすときは、自治体の支援制度の対象と期限を確認している、制度がなくても成立する採用計画になっている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、自治体のイベントに参加する価値を評価できているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「このテーマは採用担当が理解していれば十分」というのも危うい。経営層と配属先に共有されていないと、必要な条件整備の判断が下りてこない。
「まず社内制度を整えてから発信する」という順番も、待ちすぎると機会を逃す。いま出せる情報を出したうえで、足りない部分は正直に書くほうが信用される。
「地域の魅力を伝えれば来てくれる」というのも単純すぎる。地域の話が会社の話にすり替わっていると、結局その会社で働く理由が伝わらない。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 自治体の支援制度の対象と期限を確認しているかどうか
- 制度がなくても成立する採用計画になっているかどうか
- 自治体のイベントに参加する価値を評価できているかどうか
- 申請にかかる工数を見積もっているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. このテーマは自社にも当てはまりますか。
地域や業種によって影響の大きさは変わります。昨年の選考で、このテーマに関わる理由の辞退があったかどうかを確認するのが、いちばん確実な判断材料になります。
Q. 対応すると費用がかかりませんか。
費用がかかる打ち手と、書き方を変えるだけの打ち手があります。まずは後者から確認したいところです。情報を出していないことが原因なら、費用はかかりません。
Q. まず誰に相談すればいいですか。
社内では、配属先の上長と経営層です。採用担当だけで決められる範囲を超える判断が必ず出てきます。外部に相談する場合も、この2者の意向が整理されている前提で話すほうが早く進みます。
あわせて読みたい
- 大学連携・産学連携|研究室や学部との関係は、採用活動としてではなく事業の一部として作るほうが続く。
- テレワーク・二拠点勤務|地方企業がリモートを部分的にでも認められると、対象にできる学生の範囲が一気に広がる。
- 転勤なし採用|転勤がないことは、地方企業が大手に対して持てる数少ない明確な優位。
- 求人票・募集要項の書き方|求人票は条件の一覧ではなく、読んだ人が自分の一日を想像できる文章であるべき。
- 採用ブランディング|ブランディングは広告を打つことではない。
- スカウト運用の内製と外注|内製か外注かは費用ではなく、継続できるかどうかで決めるべき。
この記事のまとめ
今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964