採用ブランディング|地方の中小企業がまず押さえること
学生が知りたいのは会社の実績ではなく、自分がそこで何をするかである。この一点に答えていない情報は、どれだけ量があっても判断材料にならない。
この課題の正体
ブランディングは広告を打つことではない。社内で普通に話していることを、社外に伝わる言葉に翻訳する作業に近い。
採用ブランディングが話題になるとき、多くの場合は手法の話から始まる。しかし手法を変えても結果が変わらないなら、前提の置き方がずれている可能性が高い。
地方の中小企業にとっての意味
人員も予算も限られる会社では、採用ブランディングに割ける時間そのものが少ない。だからこそ、やることを絞る判断が先に来る。
大手のやり方をそのまま持ち込むと、工数が足りずに途中で止まる。規模に合わせて縮小するのではなく、目的を一つに絞って設計し直すほうがうまくいく。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
見るべき観点
採用ブランディングに取り組むとき、最低限この観点は押さえておきたい。
- 自社の強みが他社と区別できる言葉で書かれているかどうか
- 社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞けているかどうか
- 発信する場所を一つに絞れているかどうか
- 更新が止まっている媒体を放置していないかどうか
最初の一歩
全部を一度に整えることはできない。いま自社で明らかに欠けているものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置くところから始めたい。
手をつけたら記録を残す。これをやらないと、翌年の担当者は同じ検討をもう一度ゼロからやることになる。
採用ブランディングを自社の言葉にする
ブランディングは広告を打つことではない。社内で普通に話していることを、社外に伝わる言葉に翻訳する作業に近い。
自社の話に落とすときは、自社の強みが他社と区別できる言葉で書かれている、社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞けている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、発信する場所を一つに絞れているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「時間がないからできない」という説明は、多くの場合「優先順位が決まっていない」と言い換えられる。やらないことを決めれば、時間は作れることが多い。
「学生の質が下がった」という言い方も、原因の特定を止めてしまう。母集団の質は、対象の設定と伝える内容で決まる。集まる層が変わったなら、変えたのは自社の側である可能性が高い。
「まず情報収集から」という進め方も、度が過ぎると着手が遅れる。決めるべきことを仮で置いて動かしたほうが、分かることは多い。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 自社の強みが他社と区別できる言葉で書かれているかどうか
- 社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞けているかどうか
- 発信する場所を一つに絞れているかどうか
- 更新が止まっている媒体を放置していないかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 採用ブランディングに、どのくらいの時間をかけるべきですか。
確保できる時間を先に決めて、その時間で回る量に合わせるのが原則です。逆に、やることに合わせて時間を捻出しようとすると、繁忙期に止まります。止まった取り組みは、やっていないのと同じ結果になります。
Q. 去年と同じやり方で本当に大丈夫でしょうか。
去年の結果を数字で説明できるなら、続ける判断に根拠があります。説明できないなら、続けるかどうかの前に、まず数えるところから始めたいところです。
Q. 複数の課題が同時にあります。どれからやるべきですか。
採用の流れの上流にあるものからです。母集団が足りていない状態で選考の設計を磨いても、効果は限定的になります。逆に、上流が足りているのに終盤で落ちているなら、選考側から手をつけます。
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この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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