自動車・輸送用機器のインターンシップ設計|仕事の実感をどう渡すか
採用に割ける人手が限られている会社ほど、手広くやるほど成果が落ちる。絞ったうえで深くやるという判断が、結果的にいちばん現実的な打ち手になる。
目的を先に決める
目的が二つあると設計が定まらない。認知が目的なら短く広く、見極めが目的なら長く狭く。先に決めておきたい。
採用につなげたいなら、参加者にその後どう接触するかまで含めて設計する。実施して終わりでは成果は測れない。
業種のイメージを更新する機会になる
完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。中堅サプライヤーはここで勝てる。
生産技術・設計・品質保証のうち、学生のイメージから最も遠い職種を見せると印象が変わる。普段どおりの仕事を見せるだけで十分な場合が多い。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
人手をかけずに成立させる
長期間・多人数のプログラムは中小企業では続かない。1日または数日、少人数で、現場の社員が一人ついて回せる規模から始めたい。
作り込んだ課題より、本物の仕事を見せる時間を長く取るほうが記憶に残る。
参加後の接触を決めておく
成果は実施中ではなく実施後に決まる。参加した学生と、いつ何回接触するかを先に決めておく。
選考への案内を急ぐと重く感じられ、放置すると忘れられる。月に一度、近況を聞く程度が扱いやすい。誰がやるかを決めないと必ず止まる。
自動車・輸送用機器で募集する職種を分けて考える
自動車・輸送用機器が新卒で募集する職種は、生産技術、設計、品質保証、生産管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生産技術と生産管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。中堅サプライヤーはここで勝てる。
よくある誤解
「現場は忙しいから採用に関わらせられない」という判断も、結果的に高くつく。現場の社員が面接に出るかどうかで、説明の説得力はまったく違う。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
「内定を出せば終わり」という感覚も危うい。内定から入社までの数か月は学生がいちばん不安になる時期で、放置すれば他社に流れる。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 自動車・輸送用機器で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。
よくある質問
Q. インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
Q. 技術職と事務職で、採用の進め方は変えるべきですか。
変えたほうがよいです。生産技術と設計では、学生が比較する相手も、判断の軸も違います。募集要項・接点の作り方・面接で見る項目を、職種ごとに分けて設計したいところです。
Q. 配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
あわせて読みたい
- 農業・林業・水産|事業としての規模と収益構造が学生に見えていないことが最大の障壁。
- 飲食・フードサービス|離職率のイメージが先行するため、労働時間と昇進の道筋を数字と制度で説明できるかが勝負になる。
- 不動産・住宅|営業のイメージだけで敬遠されやすい。
- リファラル採用・社員紹介|社員紹介は無料で使える手段だが、制度がないまま呼びかけても動かない。
- OfferBoxの費用|費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- スカウトのターゲット設計|検索条件を広げると送信数は稼げるが返信率が落ちる。
この記事のまとめ
一年で結果が出なくても、積み上げたものが消えるわけではない。学校との関係も、社内の言語化も、翌年の起点として残る。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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