自動車・輸送用機器が求める人物像をどう決めるか|面接で評価がぶれないために
応募が来ないという相談の大半は、露出の量ではなく対象の設定に原因がある。誰に向けた募集なのかが決まっていないと、どれだけ露出を増やしても素通りされる。
理想像から作るとぶれる
求める人物像を会議で出し合うと、たいてい「主体性がある」「素直」「コミュニケーション能力が高い」に収束する。どの会社でも同じ言葉が並ぶ以上、これは人物像として機能していない。
出発点は、実在する社員である。いま活躍している人が、入社時点で何を持っていたかを振り返るほうが早い。
行動で書く
人物像は性格ではなく行動で書くと、面接で使えるものになる。「積極的」ではなく「分からないことをその場で質問できる」と書けば、確認する方法まで同時に決まる。
自動車・輸送用機器の仕事に即して言えば、生産技術なら「相手の話を遮らずに最後まで聞ける」、設計なら「手順を守ったうえで改善点を言える」のように、業務の場面に紐づけて書きたい。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
外していい条件を決める
求める条件より、求めない条件を決めるほうが効く。学部や資格を要件から外した瞬間に、対象が倍になることは珍しくない。
完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。中堅サプライヤーはここで勝てる。
社内で像を揃える
決めた人物像は、面接に出る全員で共有する。共有の方法は、文章を配るより「〇〇さんのような人」と実在の社員の名前で言うほうが確実に揃う。
面接後に評価が割れたときは、人物像の解釈がずれている合図である。その場で議論して、言葉を直しておきたい。
自動車・輸送用機器で募集する職種を分けて考える
自動車・輸送用機器が新卒で募集する職種は、生産技術、設計、品質保証、生産管理などに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生産技術と生産管理では、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
完成車メーカーを頂点とした序列で比較されやすいが、学生が本当に見ているのは自分が任される範囲。中堅サプライヤーはここで勝てる。
よくある誤解
「若手が定着しないのは世代の問題」という説明は、原因の特定を止めてしまう。採用時に伝えた情報と実際の仕事にずれがなかったかを確認するほうが、次の打ち手につながる。
「同業に勝てないから他業種から採る」という発想は方向としては正しいが、そのままでは伝わらない。他業種の学生には、自動車・輸送用機器の仕事が何に似ているかを説明する言葉が要る。
「求人票は法務的に問題がなければよい」という扱いをしている会社は多い。読んで応募するかどうかを決める文書なので、条件の羅列で終わらせると比較の土俵に乗らない。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 自動車・輸送用機器で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 採用サイトを作るべきでしょうか。
作る前に、載せる中身が揃っているかを確認したいところです。仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例。この4つがあれば形式は問われません。逆に、中身のないサイトを作ると、接点を持った学生の志望度を下げる側に働きます。
Q. 未経験でも採れる仕事かどうか、どう伝えればいいですか。
入社後1年目に任せる範囲と、そこに至るまでの教育の流れを書くのが分かりやすい形です。「未経験歓迎」という言葉だけでは、何をどこまで教えてもらえるのかが伝わりません。
Q. 社員の写真や声は必要でしょうか。
写真そのものより、何をしている人かが分かることが重要です。入社1〜3年目の社員が、どんな一日を過ごしているかを職種ごとに1件ずつ用意できると、それだけで比較の材料になります。
あわせて読みたい
- 建設・土木|資格取得の支援と、休日・残業の実態をどこまで正直に書けるかが応募の分かれ目になる。
- 小売・専門店|店舗配属の範囲と、本部に上がるまでの道筋を示せるかで応募の質が変わる。
- 士業・コンサルティング|資格取得支援と、未経験からの育成計画をどこまで具体化できるかで応募が決まる。
- 採用ブランディング|ブランディングは広告を打つことではない。
- 専門学校・短大卒の採用|専門学校生は分野が明確なぶん、仕事との接続を示しやすい。
- スカウトの年間スケジュール|学生が動く時期と企業が動きたい時期はずれている。
この記事のまとめ
採用の設計は、一度作ったら終わりではない。毎年の結果を見て、どこを変えてどこを変えないかを決める作業そのものが設計である。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964