山梨県の企業がインターンシップを採用につなげる
人手が足りないから採用する、という順番で動くと、必ず急いで決めることになる。急いだ採用は入社後にずれが出やすく、翌年また同じことを繰り返す。
何のためにやるかを先に決める
インターンシップは、会社を知ってもらう場であると同時に、こちらが学生を見極める場でもある。この二つのどちらを主目的にするかで、内容も期間もまったく変わる。
採用につなげたいなら、参加者にその後どう接触するかまで含めて設計する。実施して終わりでは、単なる社会貢献になる。
人手をかけずに成立させる
長期間・多人数のプログラムは、中小企業では続かない。1日または数日、少人数で、現場の社員が一人ついて回せる規模から始めるほうが現実的である。
企画に時間をかけるより、社員が普段やっていることを見せる時間を長く取ったほうがよい。学生が知りたいのは、入社後の毎日がどうなるかである。
同じ打ち手でも、業種と地域が変われば効き方が変わる。うまくいかなかったときに手法のせいにする前に、前提が自社と合っていたかを見直したい。
遠方の学生を対象に含める
交通費や宿泊の扱いを先に明示しておきたい。負担がどうなるか分からないままでは、興味があっても申し込みに至らない。
参加後の接触を設計する
当日の満足度より、その後の接触回数のほうが採用人数に効く。終わる前に、次にいつ連絡するかまで決めておきたい。
選考への案内を急ぐと重く感じられ、放置すると忘れられる。月に一度程度、近況を聞く形の連絡を入れるくらいが扱いやすい。誰がやるかを決めておかないと、必ず止まる。
設計時に決めること
始める前に、この5点を決めておきたい。
- 主目的(認知を広げるのか、見極めるのか)
- 期間と人数、対応する社員
- 体験してもらう業務の中身
- 県外・オンライン参加の可否と交通費の扱い
- 参加後の接触の頻度と担当者
山梨県の採用を考えるときの基礎データ
山梨県の主な産業は電子部品、機械、果樹農業、観光である。企業の集積は甲府市と富士吉田に偏りやすく、甲斐に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては山梨大学、山梨県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した山梨出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
甲信越・北陸という括りで見ると、山梨の企業が比較される相手は三つに分かれる。甲信越・北陸の同業、甲府市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。
「地元の学生は地元志向だから条件は多少劣ってもよい」という理解も危うい。地元で働きたいという前提の上で、条件は他社と比較されている。志向と妥協はまったく別のものである。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 山梨県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。
手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。
Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。
キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。
Q. 保護者への説明まで必要ですか。
地方の新卒採用では、保護者の理解が結果を左右することがあります。会社案内を学生本人にしか渡していないなら、そこに伸びしろがあります。所在地・事業内容・雇用条件が第三者にも分かる形の資料を1枚用意しておくだけでも違います。
あわせて読みたい
- 新潟県の新卒採用|燕三条の金属加工をはじめ、ものづくりの技術がそのまま企業のブランドになっている地域。
- 富山県の新卒採用|持ち家率が高く共働きが定着している土地柄で、生活設計の話が採用のフックになりやすい。
- 長野県の新卒採用|精密加工の技術を持つ中小企業が多く、技術系は同業他社との比較になる。
- 面接官・面接設計|面接は評価の場であると同時に、口説く場でもある。
- 福利厚生・働き方|制度は数ではなく、実際に使われているかどうかで評価される。
- スカウトのターゲット設計|検索条件を広げると送信数は稼げるが返信率が落ちる。
この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964