島根県の新卒採用コストを下げる|単価の正しい数え方
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
媒体費は採用コストの一部でしかない
島根県の中小企業では、採用担当が他業務と兼任していることが多く、かかった時間が費用として認識されない。結果として「うちは採用コストをかけていない」という誤解が生まれる。
人件費として計上しなくてよいので、かかった時間だけは記録しておく。時間あたりの成果で並べ直すと、やめるべき手法が見えてくる。
早期離職は再採用コストになる
入社1年以内に退職した社員の分は、翌年また採用することになる。つまり、その年の採用単価に上乗せされていると考えるのが正しい。
条件を良く見せて採った結果として離職が出ているなら、それは採用コストを先送りしているだけである。正直に伝えて母数が減るほうが、総コストでは安く済む。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
コストを下げる打ち手は3つ
単価を下げる方法は、突き詰めると3つしかない。歩留まりを上げる、手法を絞る、無料で使える経路を太くする。新しい手法を足すことは、たいてい単価を上げる。
手法を絞ると、担当者の時間が空く。空いた時間を残した手法に集中させると、質が上がって歩留まりも上がる。足し算ではなく引き算のほうが効く局面は多い。
成果報酬型という選択肢
前払いの費用は、結果が出なかった年にそのまま損失として残る。数名規模の採用では、この当たり外れが読めないことが最大の問題になる。
当社が提供しているOfferBox運用代行は、完全成果報酬型で、入社の承諾に至ったときにのみ費用が発生する。島根県のように採用人数が読みにくい地域の中小企業にとっては、固定費を増やさずに手法を一つ増やせる形になる。
数えておきたい数字
単価を管理するために、最低限この5つは記録しておきたい。
- 手法ごとの費用(媒体費・出展費・外注費)
- 手法ごとの応募数と内定承諾数
- 採用活動にかかった担当者の総時間
- 面接に出た社員の延べ時間
- 入社1年以内の離職者数
島根県の採用を考えるときの基礎データ
島根県の主な産業は電子部品、鉄鋼、情報通信、農林水産である。企業の集積は松江市と出雲に偏りやすく、浜田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては島根大学、島根県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した島根出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
中国という括りで見ると、島根の企業が比較される相手は三つに分かれる。中国の同業、松江市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「地方だから条件で負ける」というのも、半分しか当たっていない。額面では確かに都市部が上回ることが多いが、通勤時間と住居費まで含めた比較にすれば話は変わる。ただし、その計算を学生が自分ですることはない。島根県で働いた場合の数字を、会社の側で用意する必要がある。
「学生は都会に出たがる」と決めつけるのも危うい。島根県での勤務を希望している学生は実際に存在するが、その層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないことが多い。見つけられないことと、いないことは別である。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
自社に当てはめて考える
ここからは自社の話になる。社内で答えが揃わない項目があれば、そこが手をつける場所だと考えてよい。
- 島根県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
Q. 県内の学生だけでは母集団が足りません。どうすればいいですか。
島根県に限らず、県内在住の学生だけで計画を埋めようとすると早い段階で頭打ちになります。進学で県外に出た島根出身の学生を対象に含めると、母数は大きく変わります。ただしこの層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないため、こちらから探しに行ける手段がないと接点が作れません。
Q. オンラインでの選考だけで内定を出してもよいのでしょうか。
対面の機会をどこかに一度は入れたほうが、入社後のずれは減ります。ただし島根県の企業が県外の学生を対象にする場合、最初から対面を求めると接点そのものが作れません。序盤はオンラインで完結させ、終盤で一度来てもらう(交通費の扱いを先に明示する)という順番が現実的です。
Q. 求人媒体への掲載はやめるべきですか。
やめる必要はありませんが、位置づけは変えたいところです。媒体は「知っている人が来る場所」であり、知らない人と出会う場所ではありません。認知を作る手段を別に持ったうえで、受け皿として使うのが噛み合います。
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この記事のまとめ
うまくいっている会社が特別なことをしているとは限らない。当たり前のことを、学生から見て分かる形で言語化できているかどうかの差であることが多い。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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