三重県の企業が内定辞退を減らすには|辞退は選考中に決まっている
施策を増やしても採用人数が増えないのは、工数が分散しているからである。手を広げるほど一つあたりの密度が下がり、どれも決め手にならなくなる。
辞退は内定を出した後に起きるのではない
三重県の企業からよく聞くのは、「最終まで来ていたのに大手に取られた」という話である。ただし多くの場合、最終に来た時点ですでに第二志望以下になっていて、逆転の機会は前の段階にあった。
手を打つべきは、最初の接触から一次面接までのあいだである。ここで志望度が上がらなければ、その後どれだけ丁寧に扱っても順位は動かない。
段階ごとに落ちる理由を分ける
歩留まりを見るときは、応募・説明会・一次・二次・最終・内定・承諾の各段階で何人残ったかを分けて数えたい。全体の辞退率だけでは、どこを直せばよいか分からない。
三重県の企業の場合、終盤での辞退理由に勤務地と住まいが絡むことが多い。条件として先に出していれば防げたものが、終盤まで残ってしまっている。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
選考のスピードは志望度に直結する
応募から一次面接まで2週間かかる会社と、3日で会える会社では、学生の中での優先順位が変わる。中小企業が大手に勝てる数少ない領域が、この速さである。
毎週この時間は面接に使う、と決めて枠を確保しておく。これをやらない限り、スピードは担当者の頑張りに左右され続ける。
志望度を上げる接点を選考に組み込む
見極めと動機づけを一つの場に詰め込むと、どちらも薄くなる。評価しない前提の面談を別に設けるだけで、学生から出てくる質問の質が変わる。
職場を見てもらう機会があるなら、必ず入れたい。写真や文章で伝わらないことが、30分の見学で伝わることは多い。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでも効果がある。
辞退の理由を記録する
断られた理由を確かめないまま次の年に進むと、同じ原因で同じ人数を失う。気まずさより、繰り返すことのほうが高くつく。
一行でよい。差し支えなければ決め手を教えてほしい、と添えるだけで答えてくれる学生は少なくない。集めた理由を残しておけば、翌年の打ち手はそこから決まる。
三重県の採用を考えるときの基礎データ
三重県の主な産業は石油化学、電子部品、輸送用機械である。企業の集積は津市と四日市に偏りやすく、鈴鹿・桑名に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては三重大学、皇學館大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した三重出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
東海という括りで見ると、三重の企業が比較される相手は三つに分かれる。東海の同業、津市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「三重県には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。県内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で県外に出た三重出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。
「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 三重県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
一度埋めたら終わりではない。翌年の採用が始まる前にもう一度見直すと、前提が変わっている箇所が見つかる。
よくある質問
Q. 何月から動き出せばいいですか。
入社時期から逆算して、内定を出したい時期、選考を始める時期、接点を作り始める時期を置いていくのが基本です。大手と同じ時期に並ぶと比較で不利になるため、前倒しするか、逆に夏以降に動く層を狙うか、意図を持って時期をずらしたいところです。
Q. 地元の学生に絞ったほうがいいですか。
絞るかどうかではなく、両方を別の対象として扱うのが現実的です。三重県在住の学生には学校経由や地域のイベントが効き、県外に出た出身者にはこちらから個別に声をかける手段が要ります。同じ手法で両方を追うと、どちらも取りこぼします。
Q. 求人媒体への掲載はやめるべきですか。
やめる必要はありませんが、位置づけは変えたいところです。媒体は「知っている人が来る場所」であり、知らない人と出会う場所ではありません。認知を作る手段を別に持ったうえで、受け皿として使うのが噛み合います。
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この記事のまとめ
重要なのは、施策を増やすことではなく、うまくいかなかった理由を毎回言葉にして残しておくことである。それがそのまま翌年の採用設計の土台になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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