福井県の求人票・採用ページを書き直す|応募が増える具体の出し方
知名度で大手に勝てないことは、採用の前提として受け入れてよい。問題は、知名度がないこと自体ではなく、知名度がないまま同じ土俵で戦おうとしてしまうことにある。
求人票は条件表ではない
求人票を「条件を漏れなく書く書類」と捉えると、読んでも何も伝わらないものができる。学生が求人票から得たいのは、入社後の自分の一日である。
やることは単純で、曖昧な言葉を一つ削り、具体を一つ足す。それだけを何度か通すと、同じ内容でも読まれ方が変わる。
書き換えの手順
仕事内容の欄は、朝から夕方までの流れとして書くと具体になる。誰と、何を使って、どこまでやるか。この3点が入っていれば十分である。
繊維や眼鏡に関わる仕事なら、扱う製品やサービスの名前まで出したい。社名を出せない取引先も、業種や用途なら書けることが多い。
ここでの話は、あくまで判断の材料である。最終的にどうするかは、自社が確保できる人手と予算のなかで決めることになる。
書きにくいことこそ先に書く
勤務地、転勤の有無、休日、残業の実態。書きにくい項目を曖昧にしておくと、選考の終盤で辞退の理由になる。福井県の企業では、勤務地と通勤手段がとくにここに該当する。
鯖江の眼鏡に代表される産地型の企業が多く、世界シェアの高いニッチトップが珍しくない。その強みが学生に知られていないことのほうが問題で、説明の仕方で結果が変わる。
採用ページは確認しに来る場所
採用ページは、応募を取る場所ではなく、興味を持った学生が確認しに来る場所である。スカウトや説明会で接点を持った後に必ず見られるので、ここが空だと前段の効果が消える。
凝ったデザインより、情報が揃っていることのほうが重要になる。仕事内容、条件、選考の流れ、社員の実例。この4つが揃っていれば形式は問われない。
見直しの観点
既存の求人票を点検するなら、次の観点で読み返したい。
- 仕事内容が、一日の流れとして書かれているか
- 勤務地が市区町村まで書かれているか
- 求める人物像が、行動で書かれているか
- 初任給だけでなく、手当と昇給の考え方が書かれているか
- 選考の流れと所要日数が書かれているか
福井県の採用を考えるときの基礎データ
福井県の主な産業は繊維、眼鏡、電子部品、機械である。企業の集積は福井市と敦賀に偏りやすく、鯖江・越前に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては福井大学、福井県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した福井出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
甲信越・北陸という括りで見ると、福井の企業が比較される相手は三つに分かれる。甲信越・北陸の同業、福井市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「まず露出を増やす」という発想も、順番として逆になりやすい。誰に向けた募集なのかが決まっていない状態で露出だけを増やすと、応募の対応に担当者の時間が奪われ、本当に採りたい層に時間を使えなくなる。
「面接は人柄を見る場」という言い方も、そのままでは評価がぶれる。人柄という言葉が指すものは面接官ごとに違うので、実在する社員から逆算して行動で書いておく必要がある。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 福井県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 大手と初任給で比べられると勝てません。
額面での比較に持ち込まれると、多くの中小企業は不利になります。福井県で働く場合の家賃や通勤にかかる費用を並べて示すと、手元に残る額での比較という別の土俵が作れます。ただしこの計算を学生が自分ですることはないので、会社側が数字を用意する必要があります。
Q. 採用の専任がいません。何から手をつけるべきですか。
手法を増やすより、やらないことを決めるほうが先です。昨年それで何人採れたかを手法ごとに数えて、ゼロだった手法は今年やらないと決める。空いた時間を残した手法に集中させるほうが、結果的に採用人数は増えます。
Q. 学校のキャリアセンターに行っても相手にされません。
キャリアセンターは、送り出した学生がどうなるかに責任を感じています。実績のない会社の求人をいきなり前に出すことはしません。求人票ではなく「どんな仕事を、どんな学生に任せたいか」を説明する資料を持って、複数年かけて関係を作る前提で臨みたいところです。
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この記事のまとめ
やることを一つ決めたら、いつまでに誰がやるかまで書き出しておきたい。担当と期限のない改善案は、翌年の反省会でもう一度同じ言葉で出てくる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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