移住支援・住まいの提供|企業がやりがちな失敗
同じ募集要項を数年使い続けている会社は少なくない。市場も学生の関心も動いているのに、伝える内容だけが止まっていれば、反応が落ちるのは当然である。
構造の話で終わる
理解と実行は別である。自社が何を変えるかという形にしない限り、知っていること自体は結果に結びつかない。
住まいの提供は、県外学生にとって最も分かりやすい安心材料になる。金額より確実性が効く。
一般論をそのまま持ち込む
他社の事例をそのまま真似すると、前提が違うために噛み合わない。規模、業種、地域によって効く打ち手は変わる。
自社の場合はどうかを確認するために、入社前に現地を見てもらう機会があるかどうかという点から見直すとよい。
なお、制度やサービスの仕様は変わる。この記事の内容は考え方の部分を中心にしているが、具体的な手続きは必ず一次情報で確認してほしい。
伝える相手を絞らない
対象を広げるほど、文章は当たり障りのないものになる。関心のある層に絞ったほうが、結果として反応は増える。
絞ることで応募が減るのを恐れる気持ちは分かるが、減るのは最終的に辞退したはずの層である。
確認しておきたいこと
着手時と見直し時に、以下を確かめておきたい。
- 住まいの確保をどこまで会社が支援するか決めているかどうか
- 引越費用の負担範囲が明記されているかどうか
- 入社前に現地を見てもらう機会があるかどうか
- 家族の生活まで含めて説明できているかどうか
移住支援・住まいの提供を自社の言葉にする
住まいの提供は、県外学生にとって最も分かりやすい安心材料になる。金額より確実性が効く。
自社の話に落とすときは、住まいの確保をどこまで会社が支援するか決めている、引越費用の負担範囲が明記されている、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、入社前に現地を見てもらう機会があるも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「制度や補助金があるから大丈夫」という前提で採用計画を組むのは危うい。要件も金額も年度ごとに変わるため、制度がなくても成立する計画を先に作っておきたい。
「移住や住まいの支援は費用がかかりすぎる」と考える前に、どこまでなら負担できるかを金額で出してみたい。全額でなくても、金額と条件が明示されていること自体が安心材料になる。
「このテーマは大企業の話」と切り分けてしまうのは惜しい。規模が小さい会社のほうが、決めたことをすぐ実行に移せるぶん、手を打ちやすい面もある。
自社に当てはめて考える
次の項目は、採用担当だけでは答えられないものを含んでいる。配属先の上長と一緒に確認するほうが早く埋まる。
- 住まいの確保をどこまで会社が支援するか決めているかどうか
- 引越費用の負担範囲が明記されているかどうか
- 入社前に現地を見てもらう機会があるかどうか
- 家族の生活まで含めて説明できているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
Q. このテーマは自社にも当てはまりますか。
地域や業種によって影響の大きさは変わります。昨年の選考で、このテーマに関わる理由の辞退があったかどうかを確認するのが、いちばん確実な判断材料になります。
Q. 学生に伝わる書き方が分かりません。
抽象語を一つ減らして、金額・時間・頻度のどれかに置き換えます。「暮らしやすい」ではなく「通勤15分、家賃は月◯万円台」と書けたとき、初めて比較の材料になります。
Q. 自治体の制度は使えますか。
年度ごとに要件が変わるうえ、申請の工数もかかります。使えたら加点という位置づけにして、制度がなくても成立する採用計画を先に組んでおくほうが安全です。
あわせて読みたい
- Iターン・Jターン就職|縁のない土地を選ぶ学生は、仕事より暮らしから入ることが多い。
- 大学連携・産学連携|研究室や学部との関係は、採用活動としてではなく事業の一部として作るほうが続く。
- テレワーク・二拠点勤務|地方企業がリモートを部分的にでも認められると、対象にできる学生の範囲が一気に広がる。
- 外国人材の採用|在留資格と職務内容の対応を先に確認しないと、内定後に進められなくなる。
- スカウト文面|文面は長さではなく、なぜあなたなのかが最初の3行に書いてあるかで読まれるかどうかが決まる。
- 新卒ダイレクトリクルーティング媒体の選び方|媒体ごとに学生の層と使い方が違う。
この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964