富山県の企業の選考フローと面接設計|見極めと口説きを分ける
新卒採用は育成前提の投資である。いま欠けている人手を埋める発想のままだと、求める人物像も、伝えるべき将来像も決まらない。
選考フローは短いほどよい、とは限らない
選考回数を減らせば辞退は減る、という単純な話ではない。回数が少ないと学生側も判断材料が足りず、内定を出しても決めきれない。重要なのは回数ではなく、各段階で何を判断するかが決まっているかである。
各段階に「この面接で何を見るか」と「学生に何を持ち帰ってもらうか」の二つを設定する。これが決まれば、回数は自然と適正になる。
見極めと口説きを同じ場でやらない
面接官が評価しながら会社の魅力も伝えようとすると、どちらも中途半端になる。学生の側も、評価されている緊張のなかで会社の話を聞いても記憶に残らない。
富山県の企業なら、職場を見てもらう時間を選考と分けて設けたい。遠方の学生にはオンラインで現場を映すだけでもよい。仕事の実感は、面接室では伝わらない。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
面接官によって評価がぶれる問題
評価がぶれる原因は、面接官の能力ではなく、求める人物像が共有されていないことにある。「元気な人」「素直な人」という言葉では、面接官ごとに思い浮かべる人が違う。
評価項目は多くても4つまでにしたい。項目を増やすほど、面接官は全体の印象で埋めるようになる。
学生に先に伝えておくこと
回数・面接官・連絡時期の3つを最初に示しておく。それだけで、選考中に「次はどうなるのか」と不安になる時間がなくなる。
伝えたスケジュールを守ることが、そのまま会社の信用になる。守れない見込みなら、最初から余裕のある日程を伝えたほうがよい。
設計を見直す観点
既存のフローを点検するなら、次の観点で見るとよい。
- 各段階で何を判断するかが、文章になっているか
- 各段階で学生に何を伝えるかが決まっているか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているか
- 面接から結果連絡までの日数が決まっているか
- 評価をしない面談の場が、どこかに入っているか
富山県の採用を考えるときの基礎データ
富山県の主な産業は医薬品、アルミ、機械、化学である。企業の集積は富山市と高岡に偏りやすく、射水に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては富山大学、富山県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した富山出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
甲信越・北陸という括りで見ると、富山の企業が比較される相手は三つに分かれる。甲信越・北陸の同業、富山市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「知名度がないから採用できない」という説明も、そこで止めると打ち手が出てこない。知らない会社であることは、個別に声をかければ解消できる。問題は、知った後に志望度が上がる材料が用意されていないことのほうである。
「合同説明会に出れば知ってもらえる」という期待も、実際には裏切られやすい。ブースに座って待つ形では、知名度のある企業に人が流れる。出展するなら、事前の告知と事後の個別連絡まで含めて設計しないと投資が回収できない。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
自社に当てはめて考える
最後に、自社の状態を点検する項目を挙げておく。全部を同時に埋める必要はなく、影響が大きそうなものを一つ選べば十分である。
- 富山県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 内定を出しても辞退されます。
辞退は内定後ではなく選考の途中で決まっています。応募から一次面接までの日数、面接から結果連絡までの日数を決めて学生に先に伝え、その通りに動くだけでも志望度は変わります。あわせて、評価をしない面談(配属予定の部署の社員と話す時間)をどこかに入れておきたいところです。
Q. 社長が最終面接に出ますが、それで十分でしょうか。
経営者と直接話せることは中小企業の強みですが、最終面接だけに出ると「確認の場」になってしまいます。志望度は選考の前半で動くので、可能なら早い段階で一度顔を出すほうが効果は大きくなります。
Q. 保護者への説明まで必要ですか。
地方の新卒採用では、保護者の理解が結果を左右することがあります。会社案内を学生本人にしか渡していないなら、そこに伸びしろがあります。所在地・事業内容・雇用条件が第三者にも分かる形の資料を1枚用意しておくだけでも違います。
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この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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