静岡県の企業が送るスカウト文面|返信が来る書き方と落とし穴
選考の途中で学生が離れていくとき、原因は最後の面接ではなく、最初に何を伝えたかにある。入口で渡した情報が薄いほど、終盤で比較に負ける。
読まれるかどうかは冒頭3行で決まる
学生は一日に複数の企業からオファーを受け取る。そのなかで読まれるのは、冒頭で「これは自分に向けて書かれた文章だ」と分かるものだけである。会社紹介から始まる文面は、その時点で読み飛ばされる。
相手の文章から一か所だけ引けばよい。研究テーマでも、力を入れた活動でも構わない。引用が一つあるだけで、使い回しの文面とは読まれ方が変わる。
静岡県の会社であることをどう書くか
静岡県の企業がスカウトを送る場合、地域の情報は「制約」ではなく「条件の一部」として書きたい。隠すと後で辞退の理由になり、先に出せば対象が絞られるぶん返信の質が上がる。
静岡出身の学生に送るなら、そのことに触れてよい。触れないほうが失礼にならないと考える人もいるが、実際には「調べたうえで送っている」という印象のほうが強く残る。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
書いてはいけないこと
誰に送っても成立する褒め言葉は、書かないほうがましである。読んだ側は一斉送信だと判断し、そこから先を読まなくなる。
文量は短いほうがよい。スクロールが必要な時点で離脱する。本文は3つの塊にとどめ、続きは採用ページで読んでもらう形にしたい。
次の行動を一つに絞る
文面の最後で学生に求める行動は、必ず一つにする。「採用サイトを見て、エントリーして、説明会に申し込んでください」と並べると、どれも実行されない。
日程調整の手間は返信率を確実に下げる。候補日を3つ提示するか、予約用のURLを添えるかして、往復の回数を減らしておきたい。
文面を直す順番
反応が悪いときに全部を書き換えると、何が効いたのか分からなくなる。次の順番で一つずつ直したい。
- 件名(開封されない場合)
- 冒頭3行の個別化(開封されるが読み進められない場合)
- 仕事内容の具体性(読まれるが返信がない場合)
- 次の行動の軽さ(返信はあるが面談に至らない場合)
静岡県の採用を考えるときの基礎データ
静岡県の主な産業は輸送用機械、電気機械、食品、紙・パルプである。企業の集積は静岡市と浜松に偏りやすく、沼津・富士に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては静岡大学、静岡県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した静岡出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
東海という括りで見ると、静岡の企業が比較される相手は三つに分かれる。東海の同業、静岡市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「採用は人事の仕事」という切り分けも、中小企業では機能しにくい。配属先の上長が何を任せたいかを言語化していないと、求める人物像も決まらず、面接での判断もぶれる。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 静岡県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。静岡・浜松・沼津のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. 学生から見た自社の魅力が分かりません。
社内で当たり前になっていることほど、外から見ると特徴になります。輸送用機械や電気機械に関わる仕事であれば、自社の製品やサービスが最終的に誰の手に届いているかを説明できるだけでも、学生の見方は変わります。社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞くところから始めるのが早道です。
Q. 採用にかけられる予算がほとんどありません。
予算をかけずにできることを先に済ませたいところです。募集要項に勤務地と仕事内容を具体的に書く、応募から面接までの日数を短くする、辞退理由を記録する。この3つはどれも費用がかかりません。
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この記事のまとめ
ここまでの内容は、どれも一度決めれば終わりというものではない。毎年の採用のなかで結果を見ながら調整していく前提で、まずは仮でよいので決め切ることをすすめたい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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