大阪府の企業が送るスカウト文面|返信が来る書き方と落とし穴
採用の相談を受けると、多くの会社が手法の話から始める。ところが実際に効くのは、誰に向けて何を伝えるかを決め直すという、手法より前の段階であることが多い。
読まれるかどうかは冒頭3行で決まる
学生は一日に複数の企業からオファーを受け取る。そのなかで読まれるのは、冒頭で「これは自分に向けて書かれた文章だ」と分かるものだけである。会社紹介から始まる文面は、その時点で読み飛ばされる。
相手の文章から一か所だけ引けばよい。研究テーマでも、力を入れた活動でも構わない。引用が一つあるだけで、使い回しの文面とは読まれ方が変わる。
大阪府の会社であることをどう書くか
大阪府の企業がスカウトを送る場合、地域の情報は「制約」ではなく「条件の一部」として書きたい。隠すと後で辞退の理由になり、先に出せば対象が絞られるぶん返信の質が上がる。
化学や金属製品といった地域の産業と自社の関係を一文で書けると、なぜこの土地でこの事業をやっているのかが伝わる。学生が最も知りたいのは、実はここである。
ここで書いていることは、採用人数が年に1〜2名の会社と、10名以上採る会社とでは重みが変わる。自社の規模に合わせて、どこまでやるかを決めていただきたい。
書いてはいけないこと
「あなたのような優秀な方に」「ぜひ一度お話を」といった、誰にでも当てはまる表現は逆効果になる。個別に送っているという前提そのものを疑わせてしまう。
文量は短いほうがよい。スクロールが必要な時点で離脱する。本文は3つの塊にとどめ、続きは採用ページで読んでもらう形にしたい。
次の行動を一つに絞る
依頼は一つだけにする。複数並べた瞬間、学生はどれから手をつけるかを考える段階で読むのをやめる。
新卒のスカウトであれば、最初の一歩は「15分のオンライン面談」に絞るのが扱いやすい。学生側の心理的な負担が軽く、会社側も見極めに入れる。
文面を直す順番
反応が悪いときに全部を書き換えると、何が効いたのか分からなくなる。次の順番で一つずつ直したい。
- 件名(開封されない場合)
- 冒頭3行の個別化(開封されるが読み進められない場合)
- 仕事内容の具体性(読まれるが返信がない場合)
- 次の行動の軽さ(返信はあるが面談に至らない場合)
大阪府の採用を考えるときの基礎データ
大阪府の主な産業は化学、金属製品、機械、卸売である。企業の集積は大阪市と堺に偏りやすく、東大阪・吹田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
府内の主な高等教育機関としては大阪大学、大阪公立大学、関西大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは府外に進学した大阪出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
近畿という括りで見ると、大阪の企業が比較される相手は三つに分かれる。近畿の同業、大阪市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「大阪府には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。府内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で府外に出た大阪出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。
「合同説明会に出れば知ってもらえる」という期待も、実際には裏切られやすい。ブースに座って待つ形では、知名度のある企業に人が流れる。出展するなら、事前の告知と事後の個別連絡まで含めて設計しないと投資が回収できない。
「Uターンは本人が決めることだから会社にできることはない」というのも早い。戻るかどうかの判断材料は、住まい・通勤・家族との距離といった仕事の外側にあり、そこは会社が提示できる。
自社に当てはめて考える
ここまでの内容を自社に当てはめるとき、確認しておきたいのは次の点である。答えられない項目が、そのまま次に手をつける場所になる。
- 大阪府のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
確認した内容は、配属先の上長にも共有しておきたい。採用担当だけが把握している状態だと、判断が必要になったときに止まる。
よくある質問
Q. 学生から見た自社の魅力が分かりません。
社内で当たり前になっていることほど、外から見ると特徴になります。化学や金属製品に関わる仕事であれば、自社の製品やサービスが最終的に誰の手に届いているかを説明できるだけでも、学生の見方は変わります。社員に「この仕事で面白いと思った瞬間」を聞くところから始めるのが早道です。
Q. 内定を出しても辞退されます。
辞退は内定後ではなく選考の途中で決まっています。応募から一次面接までの日数、面接から結果連絡までの日数を決めて学生に先に伝え、その通りに動くだけでも志望度は変わります。あわせて、評価をしない面談(配属予定の部署の社員と話す時間)をどこかに入れておきたいところです。
Q. 社長が最終面接に出ますが、それで十分でしょうか。
経営者と直接話せることは中小企業の強みですが、最終面接だけに出ると「確認の場」になってしまいます。志望度は選考の前半で動くので、可能なら早い段階で一度顔を出すほうが効果は大きくなります。
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この記事のまとめ
打ち手を変えたら、変える前の状態を記録しておく。比較できる相手がいなければ、良くなったのか悪くなったのかも判断できない。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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