大阪府の新卒初任給と待遇設計|金額だけで比較されないために
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
初任給は比較される前提で設計する
初任給の金額は、応募するかどうかの入口では強く効き、入社を決める段階では思ったより効かない。この性質を踏まえると、入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意するという設計になる。
大阪府の相場に対して自社がどの位置にいるかは、一度確かめておきたい。知らずに据え置いていると、応募の段階で外されていることに気づけない。
額面ではなく手取りと生活コストで語る
大阪府で働く場合、家賃や通勤にかかる費用は都市部と大きく違う。額面が下回っていても、手元に残る額では逆転することがある。ただし、この計算を学生が自分でやってくれることはない。会社が示す必要がある。
比較は事実の提示にとどめたい。都会の暮らしを否定する書き方をすると、読んだ側は身構える。数字だけ出して、判断は本人に任せる。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
昇給の考え方まで書く
入口の金額より、その後の上がり方のほうが気にされている。にもかかわらず、昇給の考え方まで書いている求人は多くない。
等級や評価制度が整っていない会社もあるが、それ自体は問題ではない。「まだ制度化していないが、こういう考え方で決めている」と正直に書くほうが、曖昧な表現でごまかすより信用される。
手当は金額と条件をセットで
住宅手当や通勤手当は、大阪府の企業にとって強い訴求になる。とくに府外から来る学生にとっては、住まいの確保が最大の不安要素だからである。
制度があるのに使われていない手当は、書いてもすぐ見抜かれる。利用している社員が何人いるかまで言えるかどうかを、社内で確認しておきたい。
見直しの順番
待遇を一度に全部変えることはできない。優先順位をつけるなら、次の順番が現実的である。
- 入口で足切りされない初任給の水準を確保する
- 住まいに関する支援(金額と条件)を明示する
- 昇給の考え方を言語化して募集要項に載せる
- 入社3年目の実例を、職種ごとに1件ずつ用意する
大阪府の採用を考えるときの基礎データ
大阪府の主な産業は化学、金属製品、機械、卸売である。企業の集積は大阪市と堺に偏りやすく、東大阪・吹田に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
府内の主な高等教育機関としては大阪大学、大阪公立大学、関西大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは府外に進学した大阪出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
近畿という括りで見ると、大阪の企業が比較される相手は三つに分かれる。近畿の同業、大阪市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「地方だから条件で負ける」というのも、半分しか当たっていない。額面では確かに都市部が上回ることが多いが、通勤時間と住居費まで含めた比較にすれば話は変わる。ただし、その計算を学生が自分ですることはない。大阪府で働いた場合の数字を、会社の側で用意する必要がある。
「面接は人柄を見る場」という言い方も、そのままでは評価がぶれる。人柄という言葉が指すものは面接官ごとに違うので、実在する社員から逆算して行動で書いておく必要がある。
「選考は丁寧にやるほどよい」というのも一面的である。回数が多く期間が長い選考は、それ自体が辞退の理由になる。各段階で何を判断するかを決めれば、回数は自然と適正になる。
自社に当てはめて考える
読んだ内容を実際に動かすには、自社の現状を確認しておく必要がある。次の項目に答えられるかどうかを見てほしい。
- 大阪府のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。
よくある質問
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。大阪・堺・東大阪のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. オンラインでの選考だけで内定を出してもよいのでしょうか。
対面の機会をどこかに一度は入れたほうが、入社後のずれは減ります。ただし大阪府の企業が府外の学生を対象にする場合、最初から対面を求めると接点そのものが作れません。序盤はオンラインで完結させ、終盤で一度来てもらう(交通費の扱いを先に明示する)という順番が現実的です。
Q. 何月から動き出せばいいですか。
入社時期から逆算して、内定を出したい時期、選考を始める時期、接点を作り始める時期を置いていくのが基本です。大手と同じ時期に並ぶと比較で不利になるため、前倒しするか、逆に夏以降に動く層を狙うか、意図を持って時期をずらしたいところです。
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この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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