愛知県の企業が内定辞退を減らすには|辞退は選考中に決まっている
学生が知りたいのは会社の実績ではなく、自分がそこで何をするかである。この一点に答えていない情報は、どれだけ量があっても判断材料にならない。
辞退は内定を出した後に起きるのではない
愛知県の企業からよく聞くのは、「最終まで来ていたのに大手に取られた」という話である。ただし多くの場合、最終に来た時点ですでに第二志望以下になっていて、逆転の機会は前の段階にあった。
手を打つべきは、初回接触から一次面接までの間である。ここで志望度が動かなければ、その後どれだけ丁寧に扱っても順位は変わらない。
段階ごとに落ちる理由を分ける
歩留まりを見るときは、応募・説明会・一次・二次・最終・内定・承諾の各段階で何人残ったかを分けて数えたい。全体の辞退率だけでは、どこを直せばよいか分からない。
序盤で落ちるなら情報提供の問題、中盤なら仕事内容の伝わり方、終盤なら条件と意思決定の問題であることが多い。原因の層が違うので、打ち手も変わる。
前提として、採用手法に万能なものはない。合わないものを続けるより、合わないと分かった段階で早く手を引くほうが、結果的に採用人数は増える。
選考のスピードは志望度に直結する
面接から結果連絡までの日数を決めて、それを学生に先に伝えておく。約束通りに連絡が来るという体験そのものが、この会社は信用できるという判断材料になる。
毎週この時間は面接に使う、と決めて枠を確保しておく。これをやらない限り、スピードは担当者の頑張りに左右され続ける。
志望度を上げる接点を選考に組み込む
見極めと動機づけを一つの場に詰め込むと、どちらも薄くなる。評価しない前提の面談を別に設けるだけで、学生から出てくる質問の質が変わる。
愛知県の企業であれば、配属予定の部署の先輩社員と話す時間を選考とは別に設けるのが効く。仕事の実感が伝わるうえ、入社後の想像がつくようになる。
辞退の理由を記録する
辞退されたときに理由を聞いていない会社は多い。聞きにくい気持ちは分かるが、聞かなければ翌年も同じところで落とすことになる。
聞き方は難しくない。「今後の参考にしたいので、差し支えなければ決め手を教えてほしい」で足りる。返ってきた内容を記録に残し、翌年の設計に反映させる。この積み重ねだけで歩留まりは変わる。
愛知県の採用を考えるときの基礎データ
愛知県の主な産業は自動車、航空宇宙、工作機械、物流である。企業の集積は名古屋市と豊田に偏りやすく、岡崎・一宮に拠点を置く会社ほど、通勤と住まいの条件を先に示さないと比較の土俵に乗りにくい。
県内の主な高等教育機関としては名古屋大学、名古屋工業大学、愛知県立大学が挙げられる。学校経由の接点はここが起点になるが、それだけでは県外に進学した愛知出身の学生には届かない。両者は別の対象として設計したい。
東海という括りで見ると、愛知の企業が比較される相手は三つに分かれる。東海の同業、名古屋市に拠点を持つ企業、そして学生が進学先で接している都市部の企業である。どれと比べられているかで、出すべき条件が変わる。
よくある誤解
「愛知県には学生がいない」という言い方をよく聞くが、正確ではない。県内の在学者だけを数えるとそう見えるだけで、進学で県外に出た愛知出身の学生まで含めれば対象は決して少なくない。足りていないのは学生の数ではなく、その層に届く手段のほうである。
「地元の学生は地元志向だから条件は多少劣ってもよい」という理解も危うい。地元で働きたいという前提の上で、条件は他社と比較されている。志向と妥協はまったく別のものである。
「面接は人柄を見る場」という言い方も、そのままでは評価がぶれる。人柄という言葉が指すものは面接官ごとに違うので、実在する社員から逆算して行動で書いておく必要がある。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 愛知県のどの生活圏の学生を対象にするかが決まっているかどうか
- 募集要項に勤務地が市区町村まで書かれているかどうか
- 接点の経路ごとに昨年の実績人数を出せるかどうか
- 応募から一次面接までの日数が決まっているかどうか
答えられなかった項目のうち、最も影響が大きそうなものを一つだけ選び、いつまでに誰がやるかを決める。ここまで決めて初めて、点検が実行につながる。
よくある質問
Q. 県内の学生だけでは母集団が足りません。どうすればいいですか。
愛知県に限らず、県内在住の学生だけで計画を埋めようとすると早い段階で頭打ちになります。進学で県外に出た愛知出身の学生を対象に含めると、母数は大きく変わります。ただしこの層は地元の説明会にも求人媒体にも接していないため、こちらから探しに行ける手段がないと接点が作れません。
Q. 勤務地はどこまで具体的に書くべきですか。
市区町村までは必ず書きます。名古屋・豊田・岡崎のどこなのかで通勤も住まいもまったく変わるため、都道府県名だけでは学生が自分の毎日を想像できません。あわせて通勤手段(車が必要かどうか)と、複数拠点がある場合は配属の可能性がある拠点をすべて挙げておくと、終盤での辞退が減ります。
Q. 何月から動き出せばいいですか。
入社時期から逆算して、内定を出したい時期、選考を始める時期、接点を作り始める時期を置いていくのが基本です。大手と同じ時期に並ぶと比較で不利になるため、前倒しするか、逆に夏以降に動く層を狙うか、意図を持って時期をずらしたいところです。
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この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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